初雪の恋 ヴァージン・スノー

初雪の恋 ヴァージン・スノー

2007年6月19日 新宿ガーデンシネマにて

(2006年:日本=韓国:101分:監督 ハン・サンヒ)

 日本の宮崎あおいと韓国のイ・ジュンギの綺麗なふたりの綺麗な恋愛絵本のようです。

京都にやってきた韓国からの留学生、キム・ミン(イ・ジュンギ)が一目惚れした女の子が宮崎あおい。

言葉が通じない、気持が通じない、想いが通じない・・・そんなすれ違いのドラマなのですが、不思議とないのが、この手のドラマにありがちなしつこさや繰り返し。

京都の風景を丁寧に撮っているし、ソウルの冬の寒さも綺麗にとっています。

しかし、綺麗といっても、この映画、決して綺麗事を描いている訳ではないのですね。

 宮崎あおいは、家庭が複雑で、自分を抑えてしまう・・・という薄幸感の出し方が上手いです。

イキイキとかわいい女の子ではなく、思わず、かばいたくなるような、不幸が息をしているような女の子。

『王の男』では、中性的な骨太の演技を見せて、『フライ・ダディ』ではクールな役を演じているイ・ジュンギの魅力は「外見は女の子のように綺麗なのに、実は骨太な男の子」というのが嫌味なく出せるところだと思います。

この2人が、歩くシーンの美しさとほのかに漂う哀しさのようなものがとても良いのです。

 現実味を出すのと、ファンタジックな恋愛ドラマの虚の部分の折り合いのつけ方がスムーズで観ていて、気になってしまうところが少ないです。

まぁ、あることはあるのですが、恋愛テレビドラマや『ホワイト・バレンタイン』のようにこれでもか~というたたみかけがなくあくまでも、さらり・・・と嬉しいことも、哀しいことも描いている、言い方変えればとてもおとなしい、落ち着いた映画です。

 イ・ジュンギは、テコンドー3段だそうで、『王の男』のハードなアクションに近い芸、『フライ・ダディ』のシャープなケンカなど、こなしてみせますが、この映画では、ちょっとやんちゃな高校生、ということで、役の巾は結構、これから広くなるのではないかと思います。

宮崎あおいは、役の巾が広い上手い役者さんだし、この2人はよくお似合い。

そんなお似合いの2人の行く末を、あまりハラハラすることなく、ゆったりと観られるというのが、この映画の良いところですね。

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