雲南の少女 ルオマの初恋

雲南の少女 ルオマの初恋

When Ruoma Was Seventeen

2007年7月24日 恵比寿 東京都写真美術館ホールにて

(2002年:中国:90分:監督 チアン・チアルイ)

 素朴で素直で、風景がどこを切り取っても写真集のような、実に写美で公開するのにふさわしい写真的な映画。

 雲南のハニ族の少女、ルオマの初恋の物語なのですが、雲南というのは中国映画でよくでてきます。

『雲の南へ』という映画では、お父さんは雲南に行きたい、行きたい・・・と言う。何故、雲南なのか、理由ははっきりしないのですが、雲南に憧れて、雲南はいいところだよ、、、、と言っていました。

 雲南の有名なのは棚田なのです。

棚田の見事な風景は観光名所にもなっています。

 おばあさんと二人暮らしの17歳の少女、ルオマ(リー・ミン)。

毎日、街へ焼きトウモロコシを売りにいっています。

あまり売れていない様子。

しかし、ルオマはかわいいので、通りすがりの観光客からよく写真を撮られる。

恥ずかしがって、顔をふせてしまうルオマ。

しかし、すぐ近くの写真館の青年、アミンは、そんなルオマに気がつく。

そして、民族衣装を着たルオマと記念撮影をしてお金を儲けようよ・・・・と持ちかける。

 この写真館の青年は、長髪でちょっとかっこいいのです。

一緒に仕事をしていく内に、ほのかな恋心を抱くルオマ。

しかし、青年は夢ばかり大きくて、恋人いるし・・・おいおい、ルオマちゃん・・・この男、ダメ男かもよ・・・なんて思ってしまいます。

でも17歳が、惹かれてしまうのもわかるような。

 ルオマを演じたリー・ミンという女の子は、監督が探し出した少女で映画初出演なのですが、健康的に日に焼けて、ビーズがいっぱいのハニ族の衣装がとても似合って、恥ずかしがり屋で、寡黙な少女です。

恋心を抱く・・・といっても、この映画に「好きです」という台詞はなかったと思います。

ひたひた・・・と胸の中の恋心が打ち寄せる様子を美しい風景にあわせて音楽のように描き出します。

棚田の細い道を軽やかに走り抜けるルオマ。

 音楽、といえばお金のない青年がトウモロコシ代のかわりに・・・と渡したウォークマンからはエンヤの歌声がきこえる。

うっとりとエンヤの歌声を聞きながら、棚田を見つめるルオマ。

都会には行った事がない、素朴な生活をしているルオマにウォークマン。そして、昆明という都市に行ってエレベーターに乗ってみたいな、なんて夢をみる。

青年への想いは、都会への憧れとだぶっているようです。

そこら辺が、すれっからしでない純朴さを嫌味にならず、綺麗に可愛らしく、微笑ましく、穏やかに映しているところがいいな。

 家の中から明るい外を映すというシーンの美しさ、棚田で働く人々の小さな姿。黙々と働くおばあさん。その腕に光る腕輪。もうすぐ子牛がもらえるので、その子牛に赤いリボンを飾ってあげて、早くウチに来ないかなあ~って子牛をかわいがる。

 初恋物語、というにはあまりにも可愛らしすぎるルオマの気持。それがとても綺麗に手に取るようにわかる・・・そんな気持が嬉しくなる映画でした。  


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