青の稲妻

青の稲妻

任逍遥/Unknown Pleasures

2007年8月4日 新宿 K's cinemaにて(中国映画の全貌2007)

(2002年:中国=日本=韓国=フランス:112分:監督 ジャ・ジャンクー)

 個人的な思い出ですが、この映画が渋谷、ユーロスペースで公開になったとき、友人を誘いました。

そうしたら「ネットでのレビュー点数がとても低いから観ない」と言われ、そのままになってしまったのです。

今回、中国映画の全貌2007でスクリーンで観られて良かったと思います。

劇場公開されたから、DVDも出ていますが、ジャ・ジャンクー監督の映画の特徴は「映画が全く動かない」という事なんです。

 色々な人物が出てくるけれども、それがひとつのドラマチックなストーリー展開なんかしません。

淡々と、情景やシーンがつながれているだけで、スクリーンで観ていても、「う、う、うごかない・・・・」とうめいたくらいです。

 19才の2人の男の子(というにはもう大人のような、でもまだ子供のような微妙な年齢)の「動かない人生」を通して、見えるのは不透明な未来。

ヤクザが38才で死んだ、と聞いて、1人の男の子は「長生きしすぎだ、30才で十分だ」といった事を言います。

仕事もなく、ぶらぶらとしている2人ですが、ピンピンという男の子は、ビールのキャンペーンに来たモデルに恋をする。

結構、積極的にアタックしても、つれない。

もう1人のシャオジィは、大学に行きたいという女の子とつきあっているけれども、この2人のつきあいがまた何の進展もない。

ただ、時々会って話をしたり、ビデオを観るだけ。

 とても印象に残っているのは、バイクに乗って逃げようとするピンピンですが、バイクがエンストして、エンジンがなかなかかからない、キックでかけようとしても、何ともかからない・・・・やっとぷすぷすと走り出す、というのを長回しでえんえんと撮るところですね。

しかし、とうとうエンストしてしまったバイクを、ピンピンはあっさりと捨てて、ヒッチハイクしてしまう。

大雨の中、稲妻が走りだした中で、ぽつんと捨て置かれたバイク。

 時代についていけず、動けず、何をしても上手くいかず・・・そんな焦燥感を、動かない風景の中でじっくりと映し出す。

ジャ・ジャンクー監督の映画は、「動かないことで動きをみせる」という誰にも真似できない個性を持った世界なのだと再確認しました。

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更夜飯店

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