プロヴァンスの贈りもの

プロヴァンスの贈りもの

A Good Year

2007年8月16日 新宿ガーデンシネマにて

(2006年:アメリカ:118分:監督 リドリー・スコット)

 もう海外旅行で、ヨーロッパかなんか廻って喜んで帰ってきた、奥様、お嬢様たちが大喜びしそうなフランス観光映画。

・・・別にわたしは、ブルジョワなんか嫌いだあ~という訳ではないのですが、いかにもキレイですね、ステキですね、おフランスですね・・・と出されると、「あ、キレイですね」としか言えないのでした。

 この映画はアメリカ映画なのですが、出てくるのはイギリスとフランスだけです。

そこに、ちょっとアメリカのヨーロッパへの憧れ、がみえるような。

憧れをキレイに憧れとして描くのも映画のひとつで、その点、この映画は大変よく出来ているのです。

 ロンドンの証券会社のワーカホリック、ラッセル・クロウが、粋な(不思議な)叔父(アルバート・フィニー)が死んだことにより、プロヴァンスのブドウ畑と屋敷を相続することになる。

最初は、即、売却して・・・お金になるかどうか・・・だけだったのが、プロヴァンスを訪れ、美女にも出合って一目惚れ、ついにはめでたしめでたしになるという。ソツのない映画です。

 わたしは、ロンドンの働いている様子、あこぎに株の売買を繰り返し、ギャンブルのような忙しい生活をしているラッセル・クロウが意外と「仕事出来そう」に見えるのがよかったです。

インド系の秘書が、テキパキしていて、颯爽とかつ、あくどく、しぶとく金儲けに走るラッセル・クロウを上手く操作しているのが良かったですね。

仕事ばかりで恋などしない・・・という割には恋に落ちると気障ともいえる積極さで、この叔父にしてこの甥あり、みたいな所も嫌味なく自然に微笑ましく描かれていました。

 でも時々思い出すのは、叔父と少年時代、プロヴァンスで過ごした夏の思い出。

ワインを作り、女性を口説き、悠々としている叔父。子供であっても、(水で薄めはするけれど)ワインを飲ませ、ワインを語る。

 しかも、叔父の子供だ、と名乗る女の子がアメリカからやってくる。証拠はない・・・さて、相続はどうなる?

泥沼になりそうな話でも、この映画では、良識ある人たちが、明るいプロヴァンスの陽光の元で穏やかにまとまる。

一種の理想郷。

それはそれでひとつの快楽とも言える映画でした。

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