遠くの空に消えた

遠くの空に消えた

2007年8月25日 丸の内TOEIにて

(2006年:日本:144分:監督 行定勲)

 この映画は、子供映画なのでしょうが、意外と大人たちが個性あって、純粋に子供映画、児童映画とは言えないような気がします。

子供たちは、ごく普通なのですが、大人たちは戯画的に作り込まれていて、子供パートと大人パートがぱっくり割れてしまった印象があります。

 舞台は北海道でロケしたそうですが、どこか、ロシア文字らしきものが使われている、ひとつのユートピアの世界を作り上げています。

 飛行場建設が予定されている、酪農が主の馬酔村。

建設会社から、反対している住民を説き伏せるためにやってきた父(三浦友和)に連れられて転校してきた少年、亮介(神木龍之介)

 亮介が出合う、いたずらっ子の公平、不思議な少女、ヒハル。

 焦点があてられているのは、子供か、大人か・・・両方を描こうとしています。

伊藤歩の小学校の先生が出合う、空を飛ぼうとする不思議な青年。

バリケードを仕切っているギャング団のような黒ずくめの男たち。

ボスが田中哲司で、手下には、さりげな~く、三浦誠巳、森下能幸であったり、村のバーが大竹しのぶのママが仕切るロシア風のバーだったり。

 音楽がめいなCo.で、アコーディオンの音楽を陽気に使ったりして、日本でないどこか、という点を強調しています・・・強調しすぎ?

 フェリーニの映画、アマルコルドみたいな感じもあるし、酪農のユートピアということでは宮澤賢治のイーハトーブを思い出すのですが、行定監督の世界は、あくまでも少女チックです。

もともと少女っぽい世界がとても上手いので、悪ガキといってもそんなに邪悪ではなく無邪気。

女の子は、現実味のないファンタジックな存在です。

 昔は良かったという映画ではなく、なくなってしまったユートピアを探すような映画ですね。 

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