トランシルヴァニア
TranSylvania
2007年9月9日 渋谷・シアターイメージフォーラムにて
(2006年:フランス:102分:監督 トニー・ガトリフ)
いや・・・この映画、とても書きにくくて困りました。
映画というのは、物語があり、映像があり、音楽があり・・・・いわゆる「総合芸術」とか言われてしまうのですが、この映画はとにかく「音楽」
もう、映画館の音響のいい環境でどっぷり、音楽につかって、はい、一緒にトランス状態!・・・・としか言いようがないので。
トニー・ガトリフ監督は、アルジェリア生まれのフランス人。
前作『愛より強い旅』では、アルジェリアへの回帰といったものを描いていて、暑い空気が印象的でしたが、今回はフランスからルーマニアへ・・・秋から冬へ・・・・スクリーンからは凍った空気が流れてくるようです。
しかし、監督がこだわっているロマ(ジプシー)の音楽は、情熱的で圧倒されます。
監督初めての女性が主人公。
「愛する男性を捜すために世界の果てへと旅立つ女性」なんであります。
ジンガリナ(アーシア・アルジェント)は、去ってしまった恋人を探してルーマニアにやってきた。
といっても、愛する男性との再会をメインにもってきてはいません。
その後、さすらいつづける女の魂・・・ってやつですか?しかも、ジンガリナは妊娠している。
もうやけくそになったジンガリナが、ロマ音楽にあわせて、踊りながら皿割ながら・・・・トランス状態ってもう観ててヒヤヒヤするアブナイ雰囲気をもっています。
ジンガリナは「お守り」といって手の平に大きな目の絵を描いていて、その目が邪悪で怖い。
そこに現れるドイツ人の貴金属売買をロマ相手にしている男・・・これがファティ・アキン監督の『愛より強く』でこれでもか、と汚れてたピロル・ユーネル。
汚れてます。ピロル・ユーネル。いいですね。もう、アル中ですぜ、って(本当にアル中なひと、らしいです)
一緒に車で旅に出る2人。
この2人には、旅の終わりってないんです。どこに行けばいいか、もう、ない2人。
冬の雪原、ルーマニアの一本道をとにかく走る。行く先々でロマの人々に出合う。そこにはいつも音楽がある。音楽だけがある。
もう、音楽でひっぱります、最後の最後の地の果てまで。もう、圧倒されちゃうのです。車で次々と国を超えていく。
色々な人種の人がクロスするって、日本の映画ではまず、出来ないこと。ヨーロッパの映画ですよ、ヨーロッパならでは。
最後に「ピロル・ユーネルがつくる最高にまずそうな料理」をご紹介して終わりにします。
【レシピ】
場所:ルーマニアの冬の雪原の中の一本道
道具:車のボンネット、ナイフ、鍋
・・・・ご用意できましたか?
①玉ねぎを皮を完全にむかないで、車のボンネットの上で手でパンっとつぶす。
それを5,6個作る。
②トマトのへたをナイフで切って、後は、ぐちぐちと切って、手でこねる。
③鍋に玉ねぎとトマトをぶちこみ、そこにチーズをふる。
以上でピロル・ユーネル料理の出来上がり。
わたしは、食べ物にはうるさくないので、大体がおいしくいただいてしまいますが・・・・この料理は、まずそう・・・なのではなくて、確実に「まずいっ!」
是非、お試しください。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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