レミーのおいしいレストラン

レミーのおいしいレストラン

Ratatouille

2007年9月12日 有楽町・日劇にて

(2007年:アメリカ:110分:監督 ブラッド・バード)

 ピクサーのアニメ技術はすごい。一番は毛のフカフカ感といった、質感の出し方ですね。

本物そっくりなのではなく、本物以上にフカフカを実感できるような幻覚を覚えるくらいです。

 わたしが好きなのは『モンスターズ・インク』ですが、このアニメは「仕事を描く」というアニメだったら冒険とか・・・出しそうな所、モンスターたちが働く姿を楽しく、細かく描いたところです。

この『レミーのおいしいレストラン』も、一種の「仕事を描くもの」と言えましょう。

 ネズミのレミーは、料理が大好き。

でも、調理場にネズミ!なんて一番困ることなのです。

最初の所は、レミーが自分は料理を作る!周りのネズミたちはゴミを漁っているけれど、自分は料理を作りたいのだ、と気付くまでがずっとネズミの目で通されていて、カメラワークが面白いです。

 まぁ、清潔感というか、リアルなネズミではなくて青いネズミなんですけれども、レミーが本当に表情豊かで、かわいいの!

鼻のあたりがピンクで垂れ目で、とろ~んとフランスのグルメ御用達の店、グストーのレストランの厨房に入った時のうっとりとした目。

厨房で働くのは、リングイニという少年をはじめ、ドイツ系だったりイタリア系だったり・・・人種が様々です。

ネズミだっと見つけられて、新米のリングイニが、捨ててこい!と言われるのですが、どうも、レミーは人の言葉がわかるらしい。

しかも、こっそりレミーが作ったスープ(料理の前にはちゃんと手洗い)は、客が絶賛するもので、リングイニが作った・・・と誤解されてしまう。

そこで、リングイニのコック帽の中に入って、(鉄人28号のように)レミーがリングイニの手足を操作して、おいしい料理を次々と作り出す。

 ここからカメラは帽子の中からの映像になったりして・・・・しかし、高級フレンチレストランの強敵は誰か?

それは、一度もグストーの店を褒めたことがない、料理評論家、イゴという批評家。

 イゴの声がピーター・オトゥールだったりしますが、ものすごく料理に細かくうるさく、いちゃもんをつける、揚げ足とりの「批評家」なんですね。

さて、イゴの満足がいくような料理を作れるのか、また、レミーの存在もだんだん、ばれてきちゃう・・・・

 楽しくハラハラしながらも、どこかのどかな「料理が好き」というレミーの気持が貫かれているので、映画全体は暖かな雰囲気を持っています。

善悪の物語ではないから、わかりやすい悪役などは出てこないのですが、イゴという評論家は、「自分では何も出来ないくせに、文章でこきおろして評判を落とす」という、いや、本当に陰険なんですね。こういう陰険の出し方は上手いです。

 フランスが舞台といっても、おフランスです、という風景は出さず、地下のネズミの世界とか、厨房などを中心にしているので、アメリカ映画が無理してヨーロッパ描きました、という無理矢理感がないところも、いいところだと思います。

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