ユダ

ユダ

2007年9月22日 DVDにて

(2004年:日本:113分:監督 瀬々敬久)

 これはユーロスペースが、映画番長として、同予算、同じDVカメラで、撮影したシリーズでエロス番長の一本。

まぁ、エロス番長の映画は、決してエロ映画ではなかったのですが、この映画もそうですね。

 この映画の底に流れているのは、「不信」そして「裏切り」という言葉。

映像カメラマンの男、「私」(光石研)が、出合った中性的な青年、ユダ(本多一麻)

ユダは、突然姿を消す。そしてユダを知っているという女性、美智(岡元夕紀子)が現れる。ユダはどうしているのか、と聞くと、ユダは死んだという。

 ユダと美智の物語と私と美智の物語が同時進行する。

ユダも、美智も、私も、そしてユダと美智が出合う青年、大地(三浦誠巳)も、お互いを信じていないけれど、行動を共にする・・・

 なにもかもあきらめたような氷のような表情の岡元夕紀子が、凛としているようで美しい、と同時に哀しい。

この映画に出てくる人は、皆、あきらめている、何かを。

お互い信じていないから、簡単に裏切る。見捨てる。姿を消す。

人と人とのつながりなんて・・・・カメラは手持ちカメラで、人物を追うと同時にたくさんの風景を映します。

色合いが統一されていなくて、時に暗く、時に明るく、時に鮮明、時に不鮮明。

不安定な映像だけれども、とても安定した「不信」を切り取った映画。この映画の空気が好きです。 

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