SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ

SUKIYAKI WESTERN ジャンゴ

2007年9月23日 丸の内TOEIにて

(2007年:日本:121分:監督 三池崇史)

 三池監督の映画は、基本を守って、なんでもあり・・・・だと思いますね。

もう、数々の映画をこれだけハイペースで世に送り出しているから、映画の基本、というのはわかっているのですが、そのあとの、「なんでもあり」が、どんな映画も賛否両論の嵐になってしまうのですが、監督は、この映画については「今までの映画では、やりきれていない所もあった(数々の原作もの)から、自分の作りたいものを作った」といった事を話されています。

 荒唐無稽な世界で、特に男の世界を描かせると爆裂する、というのがわたしは、とても好きなんです。

ストーリーは極めてシンプルで、ベタといってもいいくらいなのですが、男と男のガチンコ勝負、をこれほどみせる事が出来る人が他にいるかな、と思うのです。

他の監督だったら、もう少し考えてしまうところを、直感的なものでばばば~~っと作っている風なので、慣れない観客は面食らってしまう。

あ、イヤダ!と直感したとたんにダメな人にはダメな映画だと思います。

わたしは、この映画には、もう、押忍!三池監督、ありがとうございますっ!でございます。

 源氏と平家・・・の対決という設定を持ってきた上に、監督が好きだったという西部劇の設定をかぶせ、さらに台詞は全て英語、という試みをして、庄内でロケ、ロケ、ロケ・・・・爆破ばりばりです。

悪ノリに近い形で、クェンティン・タランティーノ監督を、役者として引っ張り出してきて・・・。

馬に乗って疾走する源氏と平家・・・どちらも、いいヤツ、悪いヤツという区別はなく、無頼者の集まり。

 平家(赤がメインの衣装・・・Gジャンを巧みに取り入れた衣装)の頭領、清盛が佐藤浩市。

『雪に願うこと』で佐藤浩市の弟役をやっていた、伊勢谷友介が、源氏の統領、義経。衣装は白がメイン。

 お宝をめぐってにらみ合う源氏と平家の間に、ふらりとやってきた用心棒、伊藤英明。

主人公であるはずの伊藤英明には名前がないのです。

そして、実はあまり出番は少ない。

ばりばりとやりあうのは、平家と源氏で、このぶつかりあいというのが良かったですね。

 この映画で必要なのは、馬に乗れること・・・で、馬に乗る疾走感が出せない俳優はダメなので、意外と印象に残っているのは、清盛の側近、重盛役の堺雅人。

 堺雅人は、どちらかというとおとなしい、いいひと、動より静、子供っぽいというより大人っぽい・・・そんな役柄が多かったのに、今回は、ガキ大将の側で、目をぎらぎらさせている・・・っていう一見、色が白くてなよなよしているのに、荒っぽいことをやる・・・というのが面白かったですね。

皆がケレン味たっぷりに大袈裟に英語で話すのに、一瞬だけ、「えっ!」って思いっきり日本語で驚くタイミングの面白さって、三池崇史監督らしい、はずし方なのですが、気がついてくれたかな。

 わたしは年代的に西部劇に夢中になった世代ではないので、元ネタになったジャンゴという映画も知らないし、西部劇もあまり観ていません。

だからといって、この映画が楽しめなかったか、というとあの手この手を出してきて、三池監督らしい笑えるような、笑えないような複雑な間を持つ笑いの場が多くて、嬉しくなってしまいましたねぇ。

 村の保安官役の香川照之が、あんなにトリックスター的になるとは思わず、また、あんな事して、腰は大丈夫なのかしら?という他の役者さんもそうなんですけれど、泥まみれになり、はいずりまわり・・・・男優さんは、体張ってます、というのもいい。

 なんかくだらないけど、面白い・・・『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラート』なんて完全にこのラインの映画です。

俳優たちの怪物的演技もいいな。伊勢谷友介って美しいな、意外と英語の発音が綺麗な木村佳乃・・・など後から何度も思い出す、インパクトの強い映画。

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