犯人に告ぐ

犯人に告ぐ

2007年10月9日 九段会館にて(試写会)

(2007年:日本:117分:監督 瀧本智行)

 『樹の海』が大変印象深かった瀧本監督の新作。

原作はベストセラーだそうです。

 警察をはじめ男たちのガッツリとしたぶつかり合い・・・を正面に持ってきているので、映画の芯は犯人捜しではない映画になっています。

何故犯行したか・・・などは、あえて省いています。

 6年前幼児誘拐事件の捜査に失敗して人質を死なせてしまった刑事・巻島(豊川悦司)

左遷されていたものの、また、幼児連続殺人事件が勃発。

そこでもと上司(石橋凌)が、巻島を捜査本部の責任者に任命。

 巻島は、事件について話すためテレビニュース番組に出演しますが、突然、カメラに向かって「犯人に告ぐ!」と劇場型捜査を始めてまう。

犯人を挑発するなんて!と警察側は大あわて、一方、テレビは、もの凄い視聴率に驚き・・・テレビでの犯人への告知というのをどんどんすすめてしまう。

 巻島を演じた豊川悦司はひたすらストイックで、真面目・・・しかもテレビ映りもよく、世間は「作り物でないドラマ」に熱中してしまう。

警察側からは、反発、嫉妬・・・渦巻く中で、ひとり、孤立しても犯人に呼びかけ続ける巻島。

テレビ局の中でも賛否両論が起きて大騒ぎになります。

 全体的に緊張感が途切れることなく、映画はスムーズです。

BADMANと名乗る犯人は、テレビでの挑発に、どう出てくるのか。捜査はどうなるのか・・・落ち着いた抑えた映像でよく出来たサスペンス映画です。

 『樹の海』では、樹海で自殺しようとする人々を描いたけれど、この映画では命を守るため、自分を貫く男を前面に出してきました。

どちらの映画にも共通するのは「命」であって、「動機」ではないというのは同じだと思うのです。

派手な恋愛や銃撃戦はないけれど、落ち着いた大人の世界を満喫できる映画です。 

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