カオチョンカイ・キャンプ~高校最後の軍事教練
Khao Chon Kai
2007年10月20日 TOHOシネマズ六本木ヒルズにて(第20回東京国際映画祭~アジアの風~)
(2006年:タイ:94分:監督 ウィティット・カムサケーオ)
これは青春群像ドラマなのですが、背景にあるのは、タイでは、男子高校生は週に一度は軍事教練の時間があり、高校時代に5日間の軍事教練キャンプがあるそうです。意外と軍事国家なタイ。
この舞台になったカオチョンカイというのは実在のキャンプで、同様のキャンプ場が、各地にあるそうです。
キャンプ参加は任意なのですが、キャンプに行くと兵役が免除されるらしいです。
だから、この映画の高校生たちもほとんどがキャンプに参加します。
ノイというおとなしい高校三年生が主役ですが、キャンプとはいえ、5日間とはいえ・・・行楽キャンプではない、軍事教練。
「カオチョンカイに行ってしごかれて死んだやつがいるらしいぞ」「幽霊がでるそうだ」「ものすごい高い塔からつきおとされるそうだ」・・・高校生たちの間では色々な噂が飛び交う。
さて、仲間たちと参加したノイですが、ひとり、転校生の男の子がいる。
格好よくて、いい男で、しかも正義感が強くて、ひとりで本なんか読んでたりして・・・女の子にもてたりして、ごろごろしている男の子たちは気に入らない。なんでぇ、あいつ、気取りやがって!
キャンプは高校別に班を作る(班の名前は何故か「夜のコウモリ隊」)
軍事教練、バスで着いた時からノイは、誰かに荷物をとられたり、通りすがりの「卒業生」ににらまれたり・・・と最初から不安。
映画は第1日目~第5日目・・・と別れますが、最初は基礎体力作り・・・最後は、砲弾を使った実戦訓練。
その様子を、ヒップホップというか、ラップというか・・・軽快な音楽で♪ほら、走れ~~~次はくぐれ~~♪・・・他にも妙にベタベタなメロドラマ調の音楽を意図的に使ったり、静かな音楽の流れる中、草原にたたずむ少年、夕日に照らされてたたずむ少年・・・かと思うと、音楽がぶちっと切れて・・・はぁ~~立ちション終わりだよ・・・なんて脱力ものの、面白い音楽の使い方、描くものが軍事教練であっても、音楽の遊び方がとても面白く作られていました。
10代の男の子ばかり集められているから、なんともむさ苦しいところを、とてもユーモアたっぷりに明るく描いています。
しかし、当然のようにリーダーになった転校生・・・には、皆は反感しか持たない・・・訓練はどんどん高度になっていく。
様々な男の子たちのぶつかりあいや助け合いや、分裂、喧嘩をテンポよく描きながらも、おとなしいノイが、成長する様子をしっかり見せます。ノイは高所恐怖症・・・なのですが、高い塔からロープを使って滑降する、という訓練がある・・・どうする、ノイ?
さて、5日間が終わった時のノイは、バスで到着した「これから訓練に行く子」に向かって、不敵に笑ってみせる。
ノイは、真面目で5日間の為にパンツを5枚用意して、名前なんか書いています。
でも、友人はパンツ一枚しか持ってきていない・・・という・・・1日目、普通、2日目前後ろ反対、3日目、パンツを裏返す、4日目、裏返したパンツ、前後ろ反対にすればいいのさっ・・・に「5日目はどうするんだよ・・・」「あっ、それ考えてなかったなぁ~~~~」
しかし、ちゃ~~~んと5日目はパンツのはき方あったんですよ。そんな下ネタになりそうな事を可愛く伏線にしているのも笑ってしまいました。
実に可愛げのある映画で、サワヤカ青春もの。でも、5日間でこんなに成長するなんて、やはり若者なんだなぁ、ってすがすがしい印象もありました。
ちなみに、男子が軍事教練キャンプ・・・女子はどうしているのかというと、学校が休みになって、ぶらぶら遊んでいる、そうです。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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