脳に烙印を!

脳に烙印を!

Brand Upon the Brain!

2007年11月23日 有楽町 朝日ホールにて(第8回東京フィルメックス)

(2006年:カナダ=アメリカ:95分:監督 ガイ・マディン)

特別招待作品

 (ここは、是非、太字で・・・)出た!

一昨年、特集上映されたガイ・マディン監督の新作の登場。

もうもうもう、デヴィット・リンチ監督『インランド・エンパイア』に並ぶ、監督脳内ドーパミン大放出映画でございました。

 ガイ・マディン監督の映画は、観ている間は、「うーむ」と眉間がコイル巻になるような気分なのですが、観終わった後、いつまでも、いつまでも、まさに脳に烙印押されてしまったように、印象が消えないという強烈な個性を持っています。

 これは、自伝的な物語・・・となっていて、確かに出てくる主人公は、ガイ・マディン青年ですが、職業はペンキ塗装業。ペンキ屋さん。

自分が育った灯台のある島に、灯台を塗り直して欲しいという母の希望で、ボートに揺られて、実家?に戻るガイ。

そして甦る子供時代・・・なのですが・・・それが、まぁ、すごいんですよ。

 モノクロにスタンダードサイズ、サイレント映画の再来というか、サイレント手法を使っていて、会話などは字幕が出ますが、そこにイザベラ・ロッセリーニのナレーションがかぶり、ガイ青年が故郷に戻って・・・の第12章。

 灯台のある島で、ガイの両親は孤児院をやっている。

孤児院のこどもたちと一緒に育てられたガイですが、父は発明家で地下の研究室にこもりきり。

ガイと姉の母親が、一切を仕切っている訳ですが、母は、いつも灯台に登り、サーチライトで、自分の子供たちを監視し、メガフォンで響く、「ご飯よっ!」の声(とうか字幕)。こわい・・・。

 そこに、探偵小説の主人公である美少女探偵がやってきて、孤児院に謎があるという。

子供たちは、首の後に変な穴がある。

母は、父の作った薬で夜、若返り、怒りで、また、年をとるのくりかえし。

奔放で魅力的な姉は、男装した美少女探偵と恋に落ちる。

ぎぎぃーーーー、ぎぎぃーーーと灯台の上の回転椅子から、望遠鏡で、子供を監視する母親。

冒険というより、無垢で残酷なことをする子供たち。

ガイも、そんな危ない冒険のような事に、夢中ですが、母親が怖いのか、好きなのか・・・よくわからない。

姉は、どんどん恋にはまっていくけれど、実は女であることを隠している探偵は、魔法の手袋で、体を触らせない。

父は死んでも、生き返り、そのまま研究を続ける。

 ものすごくカット割が、細かくて、凝視していると、車酔いしそうです。

音楽が重要な役目をはたしていますが、それも、古いレコード盤のざりざり・・・と雑音が入ったような音楽。

灯台以外何もない、へんぴな所にある孤児院での不思議を不思議と思わない、悪夢のようでハチミツのように甘い幻想。

 夢判断、というのがありますが、この映画を、分析できる人がいるとしたら、ガイ・マディン監督のお人柄とか、分析できるのではないでしょうか。

わたしは、どうも、女性への恐怖感というのを、妙に感じました。

幼いガイ少年にとって、母は恐怖、姉は魅力と権力、そして美少女探偵は、憧れと性です。

 観終わった後に、脳に烙印押されました。はい。

うーん、首のうしろに穴があいてしまったかもしれない。

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更夜飯店

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