中国の植物学者の娘たち

中国の植物学者の娘たち

Les Filles du lBotaniste

2007年12月19日 銀座・東劇にて

(2005年:カナダ=フランス:98分:監督 ダイ・シージエ)

 『中国の小さなお針子』のダイ・シージェ監督は、中国というより、フランス資本で映画を作る人です。

この映画も、舞台は中国ですが、実際はロケは許可されなくてベトナムでロケされたそうです。

 映画の間、ずっとなんか中国らしくない・・・と思っていたので、ベトナムかぁ、と知って納得です。

仏領インドシナを舞台にした映画『愛人 ラ・マン』みたいな空気を感じました。

西洋が感じる、東洋というもの・・・そんな空気。

 映画は、孤児院から植物園の実習生としてやってきたロシア人と中国人のハーフであるミンという娘が、植物園の主である学者の娘、アンと、同性愛の愛に陥るというもの。

 父である学者は気難しく、世話ができるのは母なきあとは娘くらいです。

しかし、実習生としてやってきたミンとアンはすぐに仲良くなる。

何をするのも一緒。

男女でいうなら一目ぼれですね。

気が合うな・・・と直観で悟る一瞬の2人のからみあう目がそれを物語っています。

 最初は親友・・・のはずがだんだん、好き・・・になっていくけれど、ミンもアンもとても肌が美しい。

肌が美しく、映像も美しいから、2人が抱擁する、なんてシーンも全くいやらしくありませんでした。

植物園の中には、西洋風のガラス張の温室がある。

 父の世話に疲れるとアンは裸になって、香草をたきしめて香草のベッドに横たわる。

それに、魅せられてしまうミン。

 実習生はいつか帰らなければならない・・・アンは、兄である軍人の長男と結婚して兄嫁になれば、いつでも一緒にいられるわ・・・と、ミンと兄を結婚させる。

 何も知らずに喜ぶ父と兄。しかし、娘たちにあるのは「いつまでも一緒にいたい自分たちだけ」です。

しかし、そんなにうまく事は運ばない。

2人の仲は知れるところとなり、「同性愛は罪」・・・・しかも家族を欺いた・・・という重罪です。

 ただ、この2人は、そんなことにめげたりせず、すべてを受け入れる。

愛しているのは変えられない。

それを貫くという形になっていて、悲劇、惨劇にはしていないのが、この映画のいいところであり、反面、甘いところなのでしょう。

 中国映画では、同性愛はタブーですが、まぁ、『藍宇』とかもありましたしね・・・惹かれあう2人の筋の通し方なんて、やはりちょっとフランス映画風かな・・と思いました。

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