アンナ・マデリーナ

アンナ・マデリーナ

Anna Magdalena

2007年12月24日 ビデオにて

(1998年:香港:97分:監督 ハイ・チョンマン)

 2007年末、パソコンがどうにも動かなくて、じゃあ、ビデオでも観ようかとひっぱりだした一本。

この映画、1998年だから、10年前の映画なんですねぇ~~~ほおおおお~~~金城くん、当時、25歳。(でも、今とあまり変わらないのにもびっくり)

 金城武の映画の中では一番好き(もしかしたら一番は『天使の涙』かもしれないけれど)・・・とにかく好きな映画の上位に入るのがこの映画です。

今でも、この映画のポストカードが部屋に飾ってあります。

金城武、ケリー・チャン、アーロン・クォックと、落書きの「亀」と「八婆」(これはあとで書きますね)のポストカード。

 ハリウッド映画を観ないがために、「変な映画ばかり観る」と常々言われているわたしですが、そんなわたしがこの映画を観た一番最初の感想は「変な映画だなあ~」でした。

 前半と後半からラストへ・・・なんか唐突な感じになるのですが、時間が経ってみると不思議と印象に残る映画で、ビデオを買ってしまいました。

 前半は、おとなしいピアノ調律師、チャン・ガーフ(金城武)のところに、自称、小説家のヤウ・モックン(アーロン・クォック)が飛び込んでくるのと、同時にガーフのアパートの上の階にモク・マンイー(ケリー・チャン)がピアノと一緒に引っ越してくるということから始まる、3人の恋愛模様です。

 小説家といっても、何も書かず競馬に夢中で、女の子のナンパにあけくれるモックンとは正反対な、おとなしいまじめなガーフ。

モックンは、サンキストの段ボール一個に生活のすべてをいれて持ち歩いている。

上の階から聞こえてくるのはへたくそなピアノ曲「アンナ・マデリーナ」

モク・マンイーは、気が強くて最初は反発しあうモックンとマンイーですが・・・実は、密かにガーフもマンイーのことが気になって・・・いけいけどんどんのお調子者のアーロン・クォックと引っ込み思案の青年、金城武に、気の強い美人、ケリー・チャン。豪華なキャストだなぁ。

 ピアノがうるさいっとアーロンがどなりこんでも無視するので、スプレーで「八婆」と落書きする・・・八婆って「あばずれ」ってことなんですねってどうでもいい広東語を覚えたわたし。

 警察に注意されて・・・ケリーは仕返しに、金城くんの部屋のドアに亀を描き「三か月飼ってちょうだいね!」

 アーロンとケリーはくっつき、金城君はふられ・・・でおしまい?と思わせて、映画は突然、チャン・ガーフこと金城武が書いて出版社に持ち込んだ小説『×と○』になります。

 この出版社の編集員がアニタ・ユン、密かにあこがれている編集長がいまは亡き、レスリー・チャンだったりしますの。

しかも、時々出てくる警察官は、ジャッキー・チュンで、アパートの管理人さんは、エリック・ツァンという・・・キャスト豪華。

 小説の中で、孤児院で育った○(金城武)と×(ケリー・チャン)は、大人になってから再会し、幽霊屋敷の宝探し・・・宝のかわりに幽霊から頼まれた、「愛する人、モク・マンイーを探して、オルゴールを渡してほしい」

オルゴールの曲はアンナ・マデリーナ・・・・。

たくさんいる’モク・マンイー’をひとりひとり訪ねていく、○と×。

 監督は美術監督をずっとしていたそうで、前半の香港でのストイックな美術と、後半の物語の中のファンタジックな美術を明らかに分けていますね。そこが、すんなり入らなかったのですが、こうしてみると、うまくできています。

後半の色遣いなどとても、ファンタジックで絵本のようです。物語の世界だから当たり前ですが、ベトナムで撮影した、という教会のシーンなどそれはそれはきれいです。前半の香港の都市といった感じを逆転させています。

 物語の中の金城武はいたずらで、お茶目な、現実のガーフとは正反対のキャラクター。

『天使の涙』でわけわからんことを次々とやるような、そんな雰囲気にガラリと変えます。

アーロンとケリーは比較的、同じキャラクターなのに、金城武だけは、人格総入れ替えの術みたいなことをするのです。

 さて、○と×は、オルゴールを無事渡せるのか・・・・香港の現実の3人の行く末は???

それを最後にさらっとまとめてしまっていて、しかもきちんとした恋愛ものになっています。

好き、と伝えたいけれど伝えられない・・・どうしたらいいのだろう・・・この映画は、そんなことを形を変えて描いています。

 ×は○に「愛してる・・・は男の言うセリフだわ」と言う。じゃ、女はなんて言うの?「それはね・・・うん、わかってた・・よ」

会話のテンポもこうしてみると実にポンポンポンとリズミカル。

3人のキャラクターもきっちりくっきりだけれども、後半でのひねり方。

よくよく観るとすご~く凝ってる映画なんですね。

改めて好き!この映画。


****追記****

この映画は、後にDVDを買ってしまったくらい好きなのですが、プロデューサーは、日本のアミューズ(金城武の所属するフーロンの日本での業務委託先)の会長、大里洋吉氏でした。

この当時、金城君は日本でアミューズのバックアップで活躍していた頃で、でもえらいな、と思うのは、大里洋吉氏(アミューズ)はプロデュースだけで内容的には香港映画で、日本は一切からまない、ということです。

だから、逆に言えば、日本がらみにして日本の女優さん出したりして日本で売り込めば、もっと日本で知名度が高かったはずです。

ここら辺の芸能界裏話、よくわからないのですが、1998年は、金城君、日本で大ブレイクしていた時です。金城君が偉いというより、金城君の事務所(フーロン)がすごいのであった。

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