君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956
Szabadsag, szerelem/Chileren of Glory
2007年12月30日 シネカノン有楽町二丁目にて
(2006年:ハンガリー:120分:監督 クリスティナ・ゴダ)
また、日本語タイトルのことになりますが・・・・この映画、別にドナウ河関係ありません。
なんともドラマチックなタイトルですが、映画の内容とは別物です。
ハンガリー語での原題は「自由、愛」だそうで、まさにそういう映画ですね。
この映画は、1950年代の東ヨーロッパの歴史がわからないとちょっと苦しいものがありますが、後から解説を読めばわかることです。
映画には2つの柱があります。
「ハンガリー動乱」と呼ばれた、ロシア軍によるハンガリー制圧動乱。
それから、「メルボルンの流血戦」と呼ばれた1956年メルボルンオリンピックの水球のハンガリー対ロシア戦。
独裁的な共産主義政権下で起きた自由民主化運動の学生運動家の女子大生、ヴィキ。
水球が強くて、オリンピックの金メダルをねらえる・・・と花形選手のカルチ。
ヴィキとカルチはひょんなことから出会う。
ノンポリで、水球と家族だけを大事にしているカルチは、最初はちょっと美人なヴィキをナンパ・・・のつもりがどんどん、好きになっていき、政治活動にも参加するようになる。
しかし、当時は秘密警察AVOCが常に、目を光らせており、反政府運動者は情け容赦なく逮捕・・・。
オリンピックで活躍してもらわなければならないカルチは、ヴィキと付き合うことを周りから猛反対される。
水球で金メダルをとりたいのならば、政治運動はだめだ。
ヴィキはヴィキで、その辺の事情はわかっているので、カルチを遠ざけようとしますが、カルチはどんどんヴィキに引き寄せられていき、一度は水球チームを脱退まで・・・
しかし、最初は即、撤退したかと思ったロシア軍の突然の侵攻・・・・やはりチームにはカルチは必要だ・・・とメルボルンに行ったころ、ハンガリーは動乱のさなかで大虐殺がおこなわれている。
政治とスポーツは別物・・・というのがオリンピックのたてまえかもしれませんが、過去、振り返ると、逆に政治と密着しているのがオリンピック。
動乱の中でどんどん仲間を失っていくヴィキ。とうとう決勝戦でロシアと戦うことになったカルチ。
もう、この映画の迫力って、何かというと・・・・戦車ですよ。ロシアの戦車。
最初は一台くらいがとろとろと撤退していくんですね。それで、ハンガリーは自由だっ!と思ったところに、どひゃーってな数の戦車がごろごろごろごろ・・・乗り込んでくるときの恐怖感。怖い。
アメリカがロシアを追っ払ってくれる・・・という情報も、結局、他の国の動乱に行ってしまいハンガリーは置き捨て・・・。
ヴィキを演じた女優さんは、キリリとした目つきが大変意志が強そうで、筋金入りです。
反して、カルチを演じた俳優さんは、いかにも女好きのスポーツマンって感じだったんですね。
それが、ヴィキは恋して表情がやわらかくなり、カルチは逆に厳しくなっていく。
ロケも壮大で、戦闘シーンなどもリアルです。
この映画の監督は女性監督ですが、甘いところなど出さず、大変な力作を作り上げました。
もちろん、悲恋の部分はドラマチックなのですが、その周りの風景の出し方、リアル感の持たせ方・・・大したものです。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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