ここに幸あり

ここに幸あり

Jardins en Automne

2008年1月6日 恵比寿ガーデンシネマにて

(2007年:フランス=イタリア=ロシア:121分:監督 オタール・イオセリアーニ)

 オタール爺ことオタール・イオセリアーニ監督の映画、ひさしぶりっ!

わたしが、監督様に勝手に呼び名をつけているのは、アキちゃんことアキ・カウリスマキ監督とこのオタール爺ことオタール・イオセリアーニ監督だけだって気がつきました?

どちらも、もうカンヌなどで有名な高名なエライ監督さんであることは十分、承知しております。

でも、作る映画を観ると、なんだか、もう親しみ感じてしまって、つい監督が、というより、アキちゃん!オタール爺!って・・・気持になるのが、この2人の監督様の映画なんです。(黒澤明監督をクロちゃん・・・なんて誰が呼べるの?石投げられますよっ!)

 さて、歌とワインで、人生はそれでいいんだなぁ、これが・・・という映画を作っているオタール爺の新作は、やはり、歌とワインがあれば、人生、それで良し!だった・・・あ。感想はこれで終わりにしてもいいなぁ。

粋な映画を、ぐだぐだ書くの・・・無粋ですねぇ。

 大臣、ヴァンサン・・・大臣って何大臣か、全然出てこないのですが、とにかく大臣のヴァンサンは忙しいけれど、国民がたいへんな抗議をしている・・・・「首相どの・・・・うんぬんかんぬん・・・辞職します」

 派手なきれいな奥さんは、辞職と知って、もう、さっさと出て行ってしまう・・・ヴァンサンは、片付けして、ふ~~~っと、どこかわからないけれど公園がある地元へ。

あ、お金ないから、バイクの後ろのせてくれる~~~?

 そして、ママのところへ行って金がないんだけど・・・本を読んでいるママは、「あ、そう」って言って、がま口から・・・ってここで感心したのが、ママが明らかに男の人で(ミシェル・ピコリ)、かつらつけて、スカートはいてるだけだということと、出した財布が、「フランスのがま口」だったということです。

「あ、このお金はダメ・・・こっち、こっち・・・」といって小金をもらってヴァンサンのフリーライフが始まります。

 おお~~と公園のあちこちから友達が出てきて、ワインを飲み、歌を歌う・・・友人のひとりが、オタール爺自身が演じていて、ワイン飲んで煙草吸って、公園に木を植えて・・・絵を描いて・・・でも、昔の家に戻ってきたらアフリカ系の不法移民たちが占拠。

でも、ヴァンサンは、隠し部屋があるからいいよ~~~と全く気にしない。

 ヴァンサンはとても女の人にもてて、もう、女ともだちたくさんいます。元奥さんも、出て行ってしまった派手な奥さんも、地元の恋人?も・・・女ともだち。

 許すとか許さないとか・・・そんなことを全く感じない、その上を軽く飛び越えているような、フリー。

自由ってのは、自由なのよ・・・という余裕全開。

 大した事件が起きるわけではなく、ヴァンサンをめぐって、人々が現れ、ワインを飲んで、しゃべって、また、ワインを飲んで・・・で、それが繰り返されるのですが、これは秋の物語(原題は秋の庭)

これからくる冬の前の一瞬の気持いい季節。

変わり目の季節。

それをきれいに描いています。

 後任の大臣も描かれますが、なんとも、皮肉で、風刺に満ちた「えらい人々」

オタール爺の静かな反骨精神が、見え隠れします。

こういうのを、マネしなさい・・・目指しなさい・・・なんて主張は全くありません。

これが自然なのね・・・というオタール爺の美しくてかわいらしい映像の数々を楽しむ映画。

 ラストは、ヴァンサンの女ともだちが、公園のテーブルで笑い合い、ワインを飲む・・・それを絵に描いているオタール爺。

カメラは、公園の紅葉になる直前の緑の木々をゆっくりと映します。

このラストシーンでゆっくりとゆれる木々の葉・・・映画に言葉はいらないなぁ・・・・そんなことをしみじみ思うラストシーンでした。

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