ハナコさん

ハナコさん

2008年1月9日 東京国立近代美術館フィルムセンターにて(生誕百年 映画監督 マキノ雅広(1)

(1943年:日本:71分:監督 マキノ正博)

 マキノ監督、生誕百年なんですね。今年。1908年生まれ。

もし、今生きておられたら、100歳ということで、そんなに昔の方ではないのですが、名前だけは知っていてなかなか観る機会がないので、今回、ビデオにもなっていないような貴重な映画が、1月から3月にわたって約100本特集上映されるので、行ってみました。

 マキノ監督については、フィルムセンター内の特別展示などを観て、改めてその偉大さを知ったわけですけれども、実際映画観てみないとわからないものです。

知識だけあっても、映画監督の場合は、作った映画を観てみないとなんとも言えませんから。

マキノ監督の映画は、過去一本だけ、『鴛鴦歌合戦』を観ていますが、なんとも粋なオペレッタでしたね。

 さて、この映画は1943年に公開ですから、まさに戦時中。

しかし、映画はとことんお洒落で、粋で、かわいらしくて、歌(さすがに日本の歌ばかりですが)が満載・・・映画はいきなりレビューのような美しいシーンで始まるので、ビックリ。

 ハナ子さんを轟夕紀子さんが演じていますけれど、結婚を控えたハナ子さんとその家族を歌でもってつづっていきます。

お父さん、お母さん、お義姉さん、甥っ子・・・そして近所に住んでいる、婚約者の五郎さん。

テキパキテキパキとした歌にあわせた人物紹介、くるくるとした表情のハナ子さん、お調子もののお父さん、しっかりもののお母さん、やさしいお義姉さん・・・・好青年の五郎さん。

 途中で、歌劇団によるレビューシーンになっても全く不思議ではなく、きれいでおしゃれで、かわいい・・・逆に今、戦争を描くと悲惨・・・しかないそんなイメージをばーんと打ち砕くような、粋な明るさ満載です。

 でも、まぁ、五郎さんは出征するのですが、ハナ子さんが涙を流すシーンは検閲でカットされてしまったとか。

戦争中、戦後の映画の検閲の厳しさのエピソードは、いくつか知っていますが、それでもこの映画、本当に戦争中に公開されたのかなぁ~~~とびっくりする、お洒落さ。

 昔の映画を改めて観ると、わたしは何よりも、「ビックリする」ということが多いのですが、一本目でいきなり大ビックリでした。

いや~~この映画の「粋」って、他の映画で見たことありません。

すばらしいな・・・と思った次第。

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