喧嘩笠

喧嘩笠

2008年1月19日 東京国立近代美術館フィルムセンターにて(生誕百年 映画監督 マキノ雅広(1)

(1958年:日本:84分:監督 マキノ雅弘)

 これは資料によるとマキノ監督の次郎長ものを観た大川橋蔵が、監督に依頼して作られた、次郎長外伝・・・のようなものです。

次郎長親分を演じているのは大友柳太朗。

 上州、大前田一家の若親分、栄次郎(大川橋蔵)

若くて、いい男で、正義感が強いけれど、まだまだ、旅を知らない若輩者でもあります。

ひょんなことから、旅に出ろ・・・(映画では「わらじを履け」ですね)と言われて・・・草鞋を脱いだ一家の娘が大川恵子。

大川恵子さん、というのは、とても可愛らしくて、お姫さまというより、お嬢様・・・というのがぴったり。

 もうもう、大川橋蔵、若さピチピチ、きれいというか、かわいいというか・・・元気のいいお人形さんのようです。

ある意味、アイドル映画というか、スター映画なのでしょうが、若い者というのは、元気があるけれども、その分、とても生意気でもある・・・という描き方をしていますね。

 次郎長親分を、臆面もなく「清水の」なんて呼んでしまうと、観ているこちらは、はらはらするんですけれど。

あ、そんなナマイキな口のきき方いかんっとか。

子分たちは、なにをっ!となるけれども、そこが余裕の次郎長親分なのです。言い聞かせるように栄次郎を説得する。

 しかし、この映画では森の石松よりも腕がたつ・・・栄次郎であります。

許嫁となるのかな・・・というすれ違いのようなやりとりもかわいいけれど、旅先の親分が殺された仇を見事に討つまでの顛末。

 次郎長もので討ち入りなんてすると、世間からしたら「殺人」として凶状持ちになってしまうけれど、ここで、親を殺された娘がいれば、それは「仇討ち」となるんですね。

そこらへんの絡ませ方が、とても巧妙。

 もちろん見せ場の殺陣もきれいなのですが、わたしが妙に気に入っているのは、栄次郎はいきなり殴り込みに行くのではなく、旅の芸人一座にまぎれてお座敷で踊りを踊る、その踊りの上手さ・・・です。粋ですね。

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