次郎長三國志 次郎長賣出す

次郎長三國志 次郎長賣出す

2008年2月5日 東京国立近代美術館フィルムセンターにて(生誕百年 映画監督 マキノ雅広(1)

(1952年:日本:82分:監督 マキノ雅弘)

 次郎長三国志の一作目。撮影は二作目とあわせて撮られたそうです。

映画が始まると廣澤虎造の浪曲がね・・・これがこのシリーズの特徴ですね。

廣澤虎造自身も、「けんかは全くできない」張子の虎という役で、映画のつなぎ目のような役目をはたしています。

とてもミュージカル・・・・・なシリーズなんですよね。

 マキノ監督自身が語られているのですが、次郎長は親分になってからは面白くない・・・・つまり子分たちの個性でこのシリーズはひっぱっていくことになるのですが、最初はまだ、次郎長一家成立までのお話。

 いきなり一家をかまえる・・・というよりも、侠客になることに決めた次郎長(小堀明男)の人柄に惚れこんで、子分たちが自然に集まってくる。

特に子分になるための、儀式とか、約束事はないのです。親分が、いいよ、といったら子分だし、いつの間にか子分にまぎれていて、子分になってしまう・・・という曖昧というか、おおらかさがいいですよね。

最近の映画って、群れ作ることあると何か条件とか、腕だめしとか、儀式的なこととか・・・変な規則にしばられているようなところがあるのですが、あくまでも次郎長一家はおおらか~~~~~~です。

 最初に押し掛けてくるのは名古屋弁丸出しの桶屋の鬼吉(田崎潤)

「ねぇねぇ、子分にしてちょうよ~~~~」とお願いというよりおねだり・・・・・桶屋だから喧嘩に行くぞ!の時自分の棺桶だといって桶を背負ってぴょんぴょんするところが可愛い。

 次は、関東綱五郎(森健二)・・・これも他の親分からの伝言を伝えにきただけなのに・・・次郎長の子分になっている図々しさ。

 そして、もと侍の大政(河津清三郎)

槍の達人で、悩んだ末に次郎長のもとに。後に次郎長の片腕となるしっかりした大人です。

 まぁ、次郎長が一家といってもまだ家はなく、大熊の親分の家にいるわけですが、名前を売り出すために・・・最初は、言いがかりをつけてくる一家をやっつけてしまおうだったのですが、その喧嘩の仲裁をして、無駄な争いをやめさせる・・・ということで名をあげるのです。

次郎長という人は基本的には、争いを好まないという布石がここにできるわけです。

 その仲裁に向かう途中わあああああって走っている子分たちの中に、汚い坊主の法印大五郎(田中春夫)が、「わい、喧嘩すきや~~~~~~」と「いつの間にかいる」っていう・・・・・

 この映画の「子分がお人柄に惚れて自然に集まる」というのがとても、おおらかでね、キリキリしていなくて、いいですね。契約だとか、儀式なんて人間関係には必要ないのでした。


*****追記*****

この頃、京橋のフィルムセンターでのマキノ雅弘監督特集に通いつめて40本近く観たのですが、いつも満席でした。なかなか若い人には伝わらないかと思うのですが、どの映画も好きですね。黒澤明監督映画より、マキノ監督の映画の方が好きかもしれない。

もちろん黒澤監督の偉大さもわかるのですが、マキノ監督は器用さでしょうね。

しばらくマキノ監督映画が続きます。


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