動物、動物たち
Un animal, des animaux
2008年2月5日 銀座テアトルシネマにて
(1994年:フランス:59分:監督 ニコラ・フィリベール)
ドキュメンタリー監督のニコラ・フィリベール監督の手法は、作り手が一切、顔を出さない・・・ということですね。
監督が何かに密着する姿はなく、ナレーションもなく、主張もなく、淡々と対象となるものを観察している、という接し方。
これはフランスのパリ国立自然史博物館が再開するために集められた、動物の剥製を陳列するまで・・・を追います。
いや~~~普段わたしたちが、目にするのは、博物館、美術館・・・またはお店のショーウィンドウであっても、「陳列完了した状態」
剥製たちは、古いものから、新しいものまで・・・・次々と職人たちが「生き返らせる」
もともとは「生きていたもの」だから、いろいろな保存をしないとダメになってしまう行程を丁寧に追います。
わたしがびっくりしたのは、剥製の目ですね。
あまり気にしていなかったけれど、目の職人さん、というのがいて、引出をあけると、無数の目が出てくるのです。
そして、うーん、これかな・・・・って選んで目をはめるところ。
そして学芸員さんのこだわり。
わたしが知っている博物館は、並べ方は、学術的な分類なのですが、この博物館は、とにかくいろいろな動物が、行列を作って、館内を行進しているように並べたい・・・・ということです。
まるでノアの方舟に乗ろうとする動物たちが、行列を作るかのような、蛇行しながらの膨大な剥製。
剥製なんて残酷・・・と言う見方もあるのでしょうが、これだけの動物たちがいて、蝶がいて、虫がいて、魚がいて・・・・・・そして人間がいるんだよ・・・・という研究した人間中心ではない、動物たちの中の人間なんじゃないか・・・という主張のもと陳列作業が進むのですね。
人間だって動物のひとつ・・・人間がめずらしい・・・と思っても、動物たちはそんなこと、全く思っていないだろう・・・なんてことを考えてしまう作業工程ですね。
でも、監督は、だからこうなんです、というメッセージは一切出さない。
こういうことをしているんですよ・・・・・と教えてくれるだけです。しかし、その影には監督の「好奇心あふれた興味」という心持がよくわかるドキュメンタリーでした。
併映された短編ドキュメンタリー『行け、ラペピー』は、フランスでは有名な自転車競技選手、今は70代になったラペピーさんを取材したもの。
これも、70すぎても自転車をこぎ、自転車レースに参加する姿を淡々と追います。
監督からの質問はなくて、ラペピーさんの言葉の数々がちりばめられているだけ。
でも、どんなに自転車に誇りを持っているか・・・・とてもよく伝わるものでした。
****追記****
この映画の事は忘れていたのですが、今はなき、銀座テアトルシネマで観ていますね。
個性的な映画を上映することでは銀座は昔は、バラエティに富んでいました。
銀座テアトルシネマはとにかく厳格というか、娯楽映画はほとんどやらなかったですね。
その姿勢が大好きでした。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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