KIDS

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2008年2月6日 丸の内TOEIにて

(2008年:日本:108分:監督 荻島達也)

 原作は乙一の短編小説です。

わたしは読んでいたのに、忘れていました。

映画始ってから・・・・あれ、これ知ってる・・・って情けない。

 この映画は乙一のひとつのテーマともいえる「ひとりでなんとかしようとする孤独」です。

街にやってきたアサト(小池徹平)も、街から出られなでくすぶっているタケオ(玉木宏)も、ダイナーで働くマスクをつけた女の子シホ(栗山千明)も、最初はみな「ひとりでやっている」という。

 アサトは超能力を持っていた・・・・・物を自由に動かせるのです。ハンドパワーの持ち主ですが、乙一のアイディアは、物が動かせるならば、傷も動かせるだろう、ということ。

 アサトは、その力を使って痛みと傷を自分に移動させる・・・・タケオは最初やめろ、というけれど、傷の捨て場所を思いつく。

シホがマスクをしているのは・・・傷のせい。

 この映画がうまいと思ったのを、アサトを小池徹平にしたことですね。

まるで女の子のようにきれいな顔をしていて、小柄で、たくましい・・・からはほど遠い。

だからこそ、出来ること・・・それは傷を自分に移動させてあげること。

そして、その女の子のようにキレイな顔にもし、傷がついたら?というあやうさを上手いキャスティングでした、と思います。

 

 しかし、去年の『包帯クラブ』にしても、なんて今の若い人たちは「傷」を怖がるというか、恐れて、敏感になっているのだろう・・・と思います。

もちろん、痛みや傷はない方がいいのですが、怪我をしないと痛みがわからないではないか・・・と思います。

自分の子供に危ないから、と包丁を持たせないという話を聞いたことがあって、料理だけでなく、刃物をどう扱うか・・・ということは多少の傷を覚悟しなければならないし、「怪我を恐れて、過保護」はいかがなものかと・・・・。

 アサトは人の痛みを自分に移すということで、ある意味、贖罪の気持をもっているようです。

そんなアサトを心配するタケオ。

傷はしばらくすれば治るけれど、心に負ってしまった傷は、目に見えないし、それまでアサトは動かすことはできない。

ただただ、自分の体を痛めつけることしかできないのがとても悲しいし、映画ではそこら辺に関してはちょっと甘いんですね。

親との関係もありますが、そこら辺のつめも少し甘いというか、ここまで痛くしたらねぇ・・・という気持もありますね。

痛々しいシーンもあり、甘いシーンもあり、で痛甘い映画・・・・ですね。

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