レンブラントの夜警

レンブラントの夜警

Nightwatching

2008年2月11日 新宿 テアトルタイムズスクエアにて

(2007年:イギリス=カナダ=オランダ=ポーランド=ドイツ:134分:監督 ピーター・グリナーウェイ)

 名画の謎・・・というものがあります。

『モナリザ』の謎とかね。ただただ美術品ということでなく、その中に謎や物語を読み取る・・・というのは、ミステリアスでありとても魅力的な謎ですね。

 ただ、このレンブラントの『夜警』を題材にしたとはいえ、監督は、個人的に言うと監督というより、アーティスト、ピーター・グリナーウェイです。

もう過去、『枕草子』とかね、やっと観ましただったし、『プロスペローの本』は、ビデオでは挫折。

どうも、ピーター・グリナーウェイという芸術家の出してくる「芸術」にすんなりと入っていけないものを感じていたので、観る前からちょっと気をつけないと・・・なんて思いました。

 とても舞台的な美術やセットで、よくある、17世紀の忠実なセットを作り上げる、なんてことはしていません。

舞台があって、主要な人物以外は、ほとんど装飾なし、だし、レンブラントの寝室は、ベットがごろごろといきなり眼の前に運ばれてくるし・・・で、余計な装飾は一切とりはらってしまった、というのはラース・フォン・トリアー監督の『ドッグ・ヴィル』みたいです。まぁ、あそこまでとりはらっていませんが。

 話もいきなり何の説明もなく出てくる人々。

レンブラントの栄光と失楽・・・といってもドラマチックなことは一切避けています。

 もう省略の美、といっていいほどですね。

夜警団の絵を画期的・・・・当時からしたら、異様な画法で描かれた裏には、ある告発がこめられていた・・・・という謎映画だったらハリウッドが映画にすれば、いいことであって、あくまでもこの映画は、レンブラントというひとりの男の失墜と失意を描いています。

出てくる男も女もなんとも孤独。

 台詞も舞台的というか、詩的というか、唐突なやりとりがあったりして、結構ついてくの大変でした。

別にわかりやすくしろ、とは思わないし、個性ある芸術性、美術性はいいのですが、どこか、とっつきにくい感じを個人的に持ってしまいました。

どうも、こう、わたしの瞳の快楽には直結しなかったというか。

なかなか、見ごたえありますが、「謎とき」だけ期待してしまうと、ちょっと肩透かしくらうかもしれません。

ピーター・グリナーウェイには要注意なのです。


****追記****

この映画は今はなき、新宿テアトルタイムズスクエアで観たのですね。

この映画館は、普通の映画館と違って体育館のような空間、広さが特徴で本当に好きでよく行きました。今から思うと写真を撮っておけばよかったと思います。

いい映画館でした。 

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