ライラの冒険 黄金の羅針盤

ライラの冒険 黄金の羅針盤

The Golden Compus

2008年3月9日 渋谷ピカデリーにて

(2007年:アメリカ:112分:監督 クリス・ワイツ)

 フィリップ・プルマンの原作三部作を読んだのは随分、昔のことで、細かいところは忘れていました。

実はこの原作は、ファンタジーであっても、「子供むけ」つまり児童文学ではない、と思います。

えらく小難しいことが次々と出てくるのですが、一番の特徴は、現実の世界とは違うこの映画の世界には、人間には「ダイモン」という動物の形をした分身がいる、ということです。

 ダイモンは、人間の魂である・・・というところからして小難しい。

そう、この映画(物語)は、難しくはないけれど、小難しいのです。

ダイモンは子供のころは、ころころと姿を変えるけれど、大人になるとそれが「ある動物」に決まる、という。

だから、主人公のライラのダイモン、パンは、基本はオコジョですが、鳥に、猫に・・・その場に応じて姿を変えます。

 もうひとつの目玉は、最初は美しく優しい冒険家だと思ったコールター夫人の存在。

ニコール・キッドマンが、もう、「私は美しい!」と言い切っているような、ニコール・ファッションショー映画。

実はライラが持つ黄金の羅針盤を狙って迫ってくるのですが、もっと憎々しくても良かったかも。

私、美しいでしょう・・・の方が先にたってしまっていて。まぁ、ニコール・ファンには眼福。青い目にピンクのアイシャドウなんて、とても魅惑的なメイクでございます。

 それが楽しめればいいのですが、真理を教えてくれるという黄金の羅針盤、ダストといわれるもの、大人たちの宗教的な争い・・・どうもそこら辺が、曖昧です。

原作だとみちみちと説明があったのですが、映画になると、先に先に進まなければ・・・・ということもあって、「ルール」の説明をあまり丁寧にしていません。

 最近のハリウッドの特撮技術を駆使してはいますが、同時にやはりあるのが戦い、戦闘シーンです。

何故、戦うのか・・・・何故、ライラの味方になって、命をかけて戦うのか・・・そこら辺も曖昧なまま豪華な緻密な特撮シーン。

なんとも人間味の薄い世界です。お金かかっているのはよくわかりますが、、、、。

 北極が舞台となってもあまり寒さを感じるような映像ではなかったので、魔女のエヴァ・グリーンがあんな薄着で大丈夫か?と心配することもなくまぁ、魔女だからいいのですよ。

 定義とまでは言わないけれど、納得のいくルールの明快な説明の仕方・・・それを字幕や台詞だけで説明するだけでひたすら先を急ぐ、凝った特撮映画は、個人的には食傷気味なんです。それが映画の良し悪しではないのですが、ナルニア国ものがたりの良さは、ナルニアの「ルール」の明快さもきちんと整理されていることです。

また、小野不由美の十二国記のような壮大で、独特の世界を持ちながらも、そのルールはきちんと定点を押さえている・・・そんなところがこの映画では定点でなく、ぶれている、といえましょう。

これが第二部、三部となるとますます・・・ね。

 まぁ、一番びっくりしたのはエンディングテーマをケイト・ブッシュが歌っていたことですか・・・文学的な世界を持つケイト・ブッシュらしい曲でした。

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