Watch with Me ~卒業写真~
2008年3月15日 DVD
(2007年:日本:125分:監督 瀬木直貴)
大好きな津田寛治さん主演、ということですが、公開時、見逃してしまい、くやしい~~くやしい~~とわたしは、手足をバタバタさせていたのです。
DVDではありますが、観られて良かったです。
脇役が多い津田寛治さんですが、もう、その知名度とキャリアはすごいものがあります。
どんな役をやっても手堅くその役になりきるし、かといってその人は津田寛治、以外何者でもない、という手堅い俳優。
もう、日本のレイ・リオッタと言ってもいいですね。
スター、主役だけでは映画というものだけでなく、何でも成り立たないのです。
そこを手堅く安心して見られる役者さん、というのはとても好きです、
この映画では、末期癌で、治療も見込がなく、緩和ケアのために出身地である九州の久留米に戻ってきた、報道カメラマンの上野和馬(津田寛治)と妻の由紀子(羽田美智子)から始まります。
この映画では津田寛治は、ずっと病を背負っています。
この映画のために体重を落とした・・・ということですが、明るい元気な寛ちゃんではなく、どちらかというと、病で苦しんでいるのを見せない努力をするかと思うと、妻には、わがままを言う・・・そんな病気を背負った演技がずっと続きます。
夫婦が久留米に来たのは冬。
そして、昔の同級生たちが見舞いに来て、思い出す中学生の時、好きだった、そして写真を教えてくれた女の子の思い出。
思い出というのはすべて、夏なのです。
この映画は、監督が緩和ケア・ホスピタルでボランティアをしていた経験から、ただの病気ものではなく、緩和ケアというものは、という真面目な映画です。
余命いくばくもない・・・そんな人にどう接したらいいのか・・・妻は献身的ではあるけれども、疲れてしまう、嫌になってしまう・・・そんなときもあるところをきちんと描いていました。
だから、いつ、自分が、また夫が・・・死ぬのか・・ということをずっと見つめ続けています。
人が死ぬシーンをどう描くか・・・というのは映画を作る人の考え方がよくわかる部分だと思うのですが、瀬木監督は、目をそらさず、直視して、役者もそれに応えていました。
下手すると、ただの「泣ける映画」で終わってしまうところ、この夫婦のあり方を通じて緩和ケアというものを、提示するという。
死を見つめた映画です。綺麗事だけで終わらせていないところが監督の真面目さがよくわかる、そんな映画でした。
タイトルのWatch with Me は、写真家ということで、被写体を見るということでもあり、病に倒れた夫を妻が支えて、最後の写真集を作るという共同作業のことでもありますが、ホスピタルケアの用語でもあるそうです。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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