スラバヤ殿下

スラバヤ殿下

2008年3月30日 DVD

(1955年:日本:86分:監督 佐藤武)

 最近、森繁久彌さんに、山田宏一さんと久世光彦さんが、それぞれインタビューしたものを読んだのですが、どちらも、「『スラバヤ殿下』は面白かったですねぇ」・・・と話を聞きたがっていました。

隠れたコメディの傑作と言われているそうです。

幸い、DVDが発売されたので観ることができました。こういうのはありがたいと思います。

 さて、この映画は、徳川夢声の「解説」で重々しく始まります。

アメリカから飛行機で帰国した、世界的に有名な天才物理学者、長宗我部(ちょうそかべ)久太郎博士(森繁久彌)です。

しかし、その飛行機には、博士の研究論文が入ったカバンを狙って、アカランド連邦とドロマニア国のスパイがいる。

 「スパイ都市、東京」と重々しく何度も繰り返されるのがとてもおかしいですね。

久太郎博士は、実は野口英世そっくりなのも笑えます。

 しかし、久太郎博士には、顔がそっくりの弟、英二(森繁久彌二役目)がいますが、これは南方の国で自由きままに暮らしていて、金に困ると日本に帰ってくるぺてん師です。

 久太郎博士には頭の痛い弟なのですが・・・・そっくりの弟を博士だと思いこんだスパイが、弟の鞄を博士のだと思いこんで接近・・・からごろごろごろごろ話が転がっていきます。

 どうしても金が欲しい、そしてまた南方に行きたい英二は、顔を黒く塗ってあやしげな言葉を話し・・・・「スラバヤから来たスラバヤ殿下」だ・・・と人気ものになってしまう。

しかし、どうも怪しい・・・と思うひとたちもいて、なんとかしようと兄と弟で大騒ぎ。

人気ものになったスラバヤ殿下は、レビューをやらないか・・・とまで。しかし、正体がいつばれてもおかしくないハラハラです。

 あやしげな訳わからない言葉をべらべら喋るスラバヤ殿下・・・と、やはり怪しげな人物、三木のり平との、やりとりなんかすごいですよね。後のタモリの四ヶ国語麻雀の元祖を見るような。

 真面目な博士、口の上手いぺてん師、怪しげなスラバヤ殿下・・・三役をくるくるこなす森繁久彌、さすがに芸達者です。

 最初はミーハーだった舞台女優の丹下キヨ子が、最後は強力な助っ人になったり、実は、話していないが、英二には娘がいて・・・どうしても父だとは名乗れない・・・といった人情といったものもとてもすんなり嫌味なくブレンドされていますね。

 この映画の面白さは、外国や外国人が出てきても、皆、日本人がやっていることで、いかにも・・・嘘っぽい感じがまた面白いのです。

ぺてん師英二の工場の従業員のひとりがまだ、若き宍戸錠・・・ですが気がつかなかったです。

そして美術は木村威夫でした。 

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