モンゴル

モンゴル

MONGOL

2008年4月16日 丸の内TOEIにて

(2007年:ドイツ=ロシア=カザフスタン=モンゴル:125分:監督 セルゲイ・ボロドフ)

 この映画は、なんといっても全編を貫く「土の匂い」に圧倒されます。

特に、チンギス・ハーンを演じていた浅野忠信の「土の匂い」にびっくりしました。

 12世紀の話ですから、もちろん銃なんてものはありません。

しかも、騎馬民族であり、刀は三日月のような青竜刀っていうのですか?

いかにも重たげな武器と簡素な弓くらいしか出てこないのです。

 全体的に美化しようなんて考えていない映画で、実に土の匂いがぷんぷんとします。

衣装にしても、本物志向といいますか、とても実用的な衣装であって、また、過剰にチンギス・ハーンを英雄視していない。

観客も女子少なく、愛読書は司馬遼太郎の『韃靼疾風録』だよ。というようなシニアな男性ばかり。

 馬を走らせ、刀を全身で振り回し、駆けずり回り・・・略奪と闘争の映画であっても、本当に人間が戦うってこんなに疲労困憊するんだろうな・・・としみじみわかります。もう、ずたずたへとへとになってつまづきながらも戦うのです。

そしていつも人馬一体である、という馬の出し方の上手さね。

人を斬るということの重みをこれだけ重厚に出した映画は少ないです。また、合戦では血がつきものではありますが、血の見せ方も工夫してあって、こういう特撮の使い方はいいと思いますね。

広大なシーンが盛りだくさんですが、モンゴルだけでなくカザフスタンや中国でもロケしたという壮大さ。

 テムジン(後のチンギス・ハーン)を演じた浅野忠信は終始、表情を変えません。

奴隷になったときも殺されそうになったときも、ハーン(長という意味)となって、最後、モンゴル統一をかけた戦いの前に、兵たちの前を馬で歩くときも声を出さず、表情を変えず兵たちの前をゆっくりと馬を歩かせるだけです。

唯一笑うのは妻と子供たちにだけ。

 浅野忠信は、透明感があるときと、無表情の中に表情を出すときと器用に使い分けることのできる俳優のひとりだと思います。

世界、特にアジアの映画に軽々と進出しているように思えるのですが、こんな大作映画の主役に抜擢されるなんて・・・日本の俳優という枠を飛び越えている数少ない俳優のひとりです。

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