警察日記
2008年4月19日 DVD
(1955年:日本:112分:監督 久松静児)
森繁久彌の映画・・・ということで選んだDVDなのですが、これはある東北の村の人々のよく出来た群集劇でした。
人物配置のうまさなんてロバート・アルトマンの映画みたいです。
中心となるのは東北のある村の警察。
そこにいる警官がすごいんですね。森繁久彌、三國連太郎、殿山泰司、宍戸錠(これが実質映画初出演)・・・メインとなるのは、警察に男の赤ちゃんと幼い姉(二木てるみ)が、捨て子として届けられた顛末。
実はその前に、馬車曳きの伊藤雄之助が、自分が好きな娘が他家へ嫁ぐのをおひとよしに荷物運びをして・・・という導入部があるのですが、ここからして、なんとも「ひとのいい」情景が出ています。
家には5人も子供がいて、6人目が生まれたばかりの警官の森繁久彌は、「一人生まれて・・・もう一人いてもいいよなぁ」と家にひきとる。
その前に色々なところへ行くわけですが、とぼとぼと歩く2人の後姿がすごくいい。
森繁久彌は、本当に人のいいおまわりさん・・・で村の人々から信頼されている。
それがよくわかるシーンが、この幼い姉に接するときの接し方です。
赤ちゃんの方は村一番のお金持、老舗旅館が預かってくれることになったけれど、どうしても、弟が気になる幼い姉を演じた二木てるみの、滅多に笑わない、頑なな顔を、なんとかしてあげたい・・・と思う気持がよくわかるのです。
さて、警察には日々色々な事が起き、たくさんの人がやってくる。
事件もあれば、大臣が視察に来る大騒ぎ、東京へ出稼ぎ・・・といいつつ人身売買のようなことをしているのを摘発したり、神社から御神仏ばかり盗むコソ泥あり・・・万引きを繰り返す母子あり。
そんな中、なんとしても女の子は弟と一緒にいたい。でも、言いだせなくてせつない顔をする。もう、名子役ですね。
いいひとばかりではない。村は貧しくて身売りに近くても、東京に行かなければ家はつぶれてしまう。
捨て子というのも、理由あってのこと。
そんなシビアな現実に誠実に向かい合うお巡りさん達というのが実に、さりげなくていいのです。
美術は木村威夫、音楽は団伊久磨というスタッフもすごいのです。
のどかな村ののどかな人々・・・の情けの話だけでなく、現実の厳しさも上手くブレンドされ、また微笑ましくも涙の出るような人情話となっていて、上手いなぁ・・・と感心していしまうのです。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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