ノーカントリー

ノーカントリー

No Country for the old man

2008年4月25日 日比谷シャンテシネにて

(2007年:アメリカ:112分:監督 ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)

 去年の様々な賞をたくさんとったコーエン兄弟の新作。

 なんとも殺伐とした、乾いた空気がずっと続きます。

メキシコ国境の町で、麻薬の大金をたまたま「拾ってしまった」平凡な男、モス(ジェス・ブローリン)

それを独り占めしようとしたことから・・・・謎の殺し屋、シガー(ハビエム・バルデム)が、じわじわじわ・・・追ってくる。

そして、警官のトミー・リー・ジョーンズ。

 映画は、たくさんの人が出てくるわけでなく、空気は淡々としていますが、だからこそ、悪を超越した悪、みたいな殺し屋、シガーが不気味なんですね。

不気味なだけでなく、なんとなく、唐突で笑ってしまうような、オスマシ顔を続けるハビエム・バルデムが存在感ばりばり。

 血も涙もなく、武器は、銃だけでなく、なんか空気ボンベのようなもので、どすんっとやってしまう。

銃を持ってくれば、いきなりバズーカ砲みたいなのも、唐突で、えっって笑ってしまったわたしでした。

 コーエン兄弟の映画では『ミラーズ・クロッシング』に近いかな、と思うのですが、同じノワールといっても映画の色が、空気が違うけれど、雰囲気が同じというすごいですねぇ。

 何がしたいのか、何が言いたいのか・・・そんなもの、すっとばして、行動にでるシガー。

話はシンプルですが、映画だけが持つ、この空気というのは、映画ならではのもの。

映画というものをよくわかっていると思うんですよね、監督は。

 たとえば、追われる男、モスがモーテルに潜む。部屋を暗くして息をひそめているけれど、いつも現れるシガーの足の影がドアの下に映る・・・・しかし、その足の影はすっと部屋を離れてしまうのです。

でも!!!!というたたみかけ、とかね。すばらしく映画的です。

 話だけ追ってしまうと、殺伐とした殺人ものなのかもしれませんが、スクリーンから吹いてくる、乾いた風がなんといってもこの映画の良さです。

だから、観終わった後、不思議と後味悪くないのですね。  

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更夜飯店

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