マイ・ブルーベリー・ナイツ
My Blueberry Nights
2008年5月9日 シネカノン有楽町一丁目にて
(2007年:香港=フランス:95分:監督 ウォン・カーワァイ)
うーん、これアメリカ版『恋する惑星』
ウォン・カーワイ監督は、映像作家ではないですね。
映像画家なんですよ。
その「画家」にあたるのが初期はクリストファー・ドイルだったわけで。
今回の映画ももしかして・・・クリストファー・ドイル?と思うくらいネオンや部屋の撮り方が似ていますが違いました。
アメリカが舞台となるけれど、製作国は香港とフランス。
だから、いわゆるハリウッド映画ではないですね。。
どの映画もお話、はどうでもいいんです。ウォン・カーワイ監督の場合。
出てくる人たちに生活感はない。
ただ、惹かれあうとか、失恋した、とか好きだって気持が動いているだけなんですね。
それを映像でぐるぐるぐるぐる動かせることに関してはものすごいセンスを持っているので、まぁ、好きなんです。
今回は、人と人の距離を強調しています。近くにいても、間にはカウンターがあり、そうそうすぐに近くはならない距離。
この映画では男(ジュード・ロウ)がずっと「店」にいて、女(ノラ・ジョーンズ)が、遠くへ遠くへ行って戻ってくる。
いつも出て行ってしまうのは女です。
『恋する惑星』で当時、香港に来て間もない(まだ広東語が下手だった)金城武演じる刑事は、見事に失恋して撃沈。
バーで涙目しているところに現れたブリジット・リン。
すごく「失恋した男の子」を繊細に映し出していて、女といえば、手が届きそうで届かないんですよね。
この映画のジュード・ロウもひたすらノラ・ジョーンズを待ってケーキを食べる。
カウンターの中で、首をかしげるジュード・ロウ、とても繊細。
ブルーベリーパイがおいしいのに、なぜか全然売れないんだよね・・・
ブルーベリーパイにアイスをのせて食べますが、それが溶けてどろどろどろ~~~ってブルーベリーソースに交るところなんか、ものすごくしつこく撮りますよね。
でも、眠っている女の子にキスするのは・・・微妙。
1回目と2回目で、同じアングルでも、気持が違っているので、上手いといえば上手いのですが、なんとなく、う~~~んんんん。好きな相手だったからまぁ、よろしいですが・・なんて思うのですが。
『恋する惑星』では眠りこける女の靴を、金城君は自分のネクタイで拭いてあげるだけです。
まぁ、この映画はお話がどうのこうのというものではないのでスクリーンでぎりぎりでも観られてよかったです。
それにしても、今回、ウォン・カーウァイ監督の出した「お話」はとてもわかりやすいのですが、ノラ・ジョーンズの出会う人々が皆、さびしいひとたちばかりで、結局、近くにいても埋まらない距離を目の当たりにして、戻ってきた女の子が見つけた・・・そんなおとぎ話のようです。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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