サテリコン
Fellini Satyricon
2008年6月21日 DVDにて
(1969年:イタリア=フランス:130分:監督 フェデリコ・フェリーニ)
フェリーニ監督は、「好きですか?」と聞かれたら、「アマルコルド・・・・は・・・好きですけど・・・」になります。
大好きな監督には入らないのですが、さすが・・・・と思わせるものはありますね。
『フェリーニのローマ』など、ローマを舞台に映画を作ったフェリーニ監督のローマ三部作といわれるものの第三部になります。
描かれるのは紀元前のローマです。
いやあ、つい、酒池肉林・・・って言葉が浮かぶ映像の数々。
ストーリーとしては、青年エンコルビオ・・・が経験する悪い夢のような様々なエピソードの数々。
最初から、美少年ジトーネをとりあうところから始まってしまって、目が点。
あらあらあらあら・・・・まぁ~~~みたいな。
フェリーニ監督はサーカスが好きだった・・・というのは有名な話で、まるでピエロのような白塗りの顔の数々。
しかし、その白塗りは暑さと湿気で、はがれおち、べとべと・・・そう、この映画はずっとべとべとしているのです。
ローマの貴族、王族たちの悪趣味とも言える饗宴の数々、残酷な運命・・・それを描く「湿気」がすごい、と思いました。
とにかくべとべとがずっと続く。前半、狭い空間かと思うと後半は、青い空が断崖の上に、海の上に広がる広大なロケに変わりますが、空気はずっと陰湿にべとべと。
スッキリするような雰囲気は全くありません。それが徹底しているから驚くわけです。
この映画を滅びの美学、と書いた人がいて、それは的を射ていますねぇ。なにもかも、滅びに向かっていくような。
しかし、ラストシーンの鮮やかさ、あれまでべとべと・・・していたのが、さっと「昔昔の物語」にさせてしまう映像から絵への変換なんて、見事としか言いようのない余韻を残します。
誰彼にも、受け入れられる世界か・・・というとフェリーニ監督の世界は手ごわい。
それは他の映画にも言えることなのですが、フェリーニ監督の映画を観るときはそれなりの覚悟が必要ですね。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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