きみの友だち

きみの友だち

2008年7月11日 サイエンスホールにて(試写会)

(2008年:日本:125分:監督 廣木隆一)

 友達ってなんでしょう。何をもって「ともだち」と言えるのでしょう。

この映画の台詞にもあるのですが、「100人のうわべの友だちと、1人の大切な友だちだったらどっちをとる?」と聞かれたら、わたしは、1人の大切な友だち、と即答してしまいますね。

 もともとわたしは、友だちの多い方ではなく、むしろ、きっぱりと少ない、と思っています。社交性ということになるととっても欠落している時を、感じます。

それは、自分のせいでもあるけれど、変に安直に「友だちですよねー」と迫ってこられるのが苦手です。

「わたしって人気ものなのっ」と友だちたくさんを自慢をする人も苦手です。

わたしって人気者だから、と自称する人はこの映画の友だち関係(人間関係)の複雑さなんてわからないと思いますよ。

それは普段の生活でもそうだし、ネットの世界でも同じです。ネットだから友だちが増えるか、というとそれはないと思いますね。

ただ、話が合うが、友だちの定義なのかなぁと思うし、この年になると「嫌なこと、嫌な自分を、それでも受け入れてくれるか?」ということかもしれません。

 この映画は小学生の恵美という交通事故で足が悪い女の子と、腎蔵が悪くて運動を禁じられている由香という2人の出会いから始まります。

そのきっかけは、運動会で、大縄跳びをするのに、綱を持つのは誰か?というときに、即、恵美ちゃんと由香ちゃんです!と仲間外れにされたことから、2人は一緒にいることになる。

 この場合、2人に共通しているのは、「思うように動けなくて、学校の行事からなかまはずれにされる」という負の部分であって、決して波長が合うから、気が合うから、話があうから・・・・ではないのです。

 そして中学になって、今度はこの2人に、心因性視覚障害のハナという女の子が近づいてくる。

それまでは、別のグループを作っていたのに、親友?が彼氏ができちゃった・・・と簡単に、グループを離れるのも、10代らしい残酷さです。

 仲間外れになってしまったハナは、小学生の時からいつも一緒の2人に「気が合うの?」と聞くけれど、おとなしい由香は「ううん。むしろ気が合わない」とはっきり言います。

 女の子2人を中心にしていますが、恵美の弟の周りの男の子の友だち世界というもの同時進行して描かれます。

本当に10代の時っていうのは、繊細で、残酷で、不安定で・・・・そんなことが身にしみるようなエピソードの数々。

岩井俊二監督の『リリィ・シュシュのすべて』の中学生たちも、孤独で、残酷でしたが、あの映画ほど、追い詰めてはいません。

 やはりいつか、わかりあえる日が来るのだ、という救いのようなものを感じます。

時間軸を変化させて、すんなりとわかりやすい展開ではないですし、恵美という女の子は、大きくなっても気が強くて、わがままな面がある、というのは変わらない。

子供には子供なりに抱える孤独といものがあって、それを流れるように10代の孤独と許し・・・を繊細に描いたこの映画は、小品かもしれないけれどとてもいい映画だと思うのです。

 友だちが多いからそれでいいかというとそうは思わない。自分を持っている人は、あえて作らないんじゃないかな・・・と言った人の言葉を思い出します。

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更夜飯店

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