ロバと王女

ロバと王女

Peau D'ane

2008年7月21日 DVDにて

(1970年:フランス:90分:監督 ジャック・ドゥミ)

 1990年に亡くなったジャック・ドゥミ監督の映画が、去年、リバイバル上映され、DVDも発売されました。

ジャック・ドゥミ監督といえば、『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』が有名なのですが、わたしが一番最初に観たのは、奥さんであるアニエス・ヴァルダ監督が、病気になった夫、ジャック・ドゥミ監督の姿を残しておこう、と撮ったドキュメンタリードラマ『ジャック・ドゥミの少年期』です。

 これは3つのパートにわかれていて、ジャック・ドゥミ監督の少年時代から映画監督になるまでをドラマにしたもの、過去の作品の解説、そして死にゆく夫の姿をドキュメンタリーとして撮った異色の映画でした。

よく覚えているのは、姿を映す・・・といってもアップもアップ、髪の毛の毛穴まで映していたカメラの(アニエス・ヴァルダ監督の)迫力の迫り方でした。

 その後、リバイバルで『ロシュフォールの恋人たち』を観て、また、当時、日本の漫画、『ベルサイユのばら』のフランスでの実写版の監督だったのを覚えています。

 この映画はシャルル・ペローの童話をもとにしています。

美しい妻を亡くした王様が、再婚の相手に選んだのは・・・・なんと美しい自分の娘。

妻と娘をカトリーヌ・ドヌーブが演じていますが、自分の娘と結婚するなんて・・・ありゃまーって・・・。

困った王女は、妖精に相談します。

妖精は、最初は無理難題をふっかけろ・・・と言いますが、空のドレス、月のドレス、太陽のドレス・・・・・・・・どんな難題も軽々クリアしてしまう王様。

王様は金を産むロバを飼っていて、王室には財宝があふれているのですねぇ。

最後の最後に、そのロバの皮をねだりなさい・・・・・。

 しかし、そのロバの皮すら王様は惜しげもなく与えてしまう。しかし、この皮をかぶると醜い娘に変身してしまう。

そして城から逃げ出す王女。

逃げ出した先で、出会う王子様。

 すごいのは色の使い方。

王様の国は青の国。城の者は皆、顔まで青く塗っていて、馬も青く塗ってしまう。

反して王子様の国は赤の国。なんでも赤。もちろん馬の真っ赤です。これを実写でやってます。

 さて、ロバの皮をこっそり脱いで美しいドレスの姿を垣間見てしまった王子は、即、恋に落ちる。

ロバの皮、とさげすまれている王女ですが、王子にお菓子を焼いてこっそり指輪を送る。

その指輪がぴったり合う女性が、王子の探している「美しいお姫様」・・・・シンデレラのガラスの靴なわけですね。

 王女が赤の国、王子が青の国ですが、2人が恋に落ちるとすべては純白になります。

 『ロシュフォールの恋人たち』でも、町並みをすべて映画のために色を塗ってしまったという逸話がありますが、とにかく色が大事なんですね。

そして、白は恋の色。恋に落ちた2人は純白を身にまとう。

そのセンスが、悪趣味にならずぎりぎりで、素敵なものになっていました。

こういう色のセンスは理屈ではなく、監督のセンスだったのだ、、、、と改めて思いました。

 王女様を演じたカトリーヌ・ドヌーブは、美しいだけでなく、品格・・・というものがたっぷりあります。

だから、ただの若い娘でなく、あくまで王女。

こういう品格は、きれいなドレスを着ただけでは無理な素の部分の問題だなぁ、とも思います。

童話、絵本の世界を映画にする、って結構、難しいと思うのですが、古典的でありながら、斬新でもあり・・・独自のファンタジーの世界です。

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