アクロス・ザ・ユニバース

アクロス・ザ・ユニバース

Across the Universe

2008年7月30日 九段会館にて(試写会)

(2007年:アメリカ:131分:監督 ジュリー・テイモア)

 考えてみれば、今までありそうでなかった全編、ビートルズの楽曲のロック・ミュージカル。

わたしはビートルズ世代ではありません。

今でも、ビートルズに影響を受けたミュージシャンってたくさんいるのですが、わたしがリアルタイムでよく聞いていたのは、解散後のソロ活動になってからですね。

わたしが好きだったのは、ポール・マッカトニー&ウィングスでした・・なんて、程度のビートルズ経験。

一応、有名な赤アルバム(初期のベスト)と青アルバム(後期のベスト)のLPレコードが家にあり、それを聴いていたのだと思います。

 この映画では33曲、すべてビートルズの歌で綴られていくのですが、ロック・ミュージカル、しかも設定は1960年代のベトナム戦争反戦もの・・・の割には、おとなしめ・・・・な印象を受けました。

ビートルズって最初のころは、圧倒的にラブソングが多くて、後期になるとまた違うのですが・・・・映画は海辺にひとり、座っている男の子が'Girl'をささやくように歌いだします。

ここがとてもきれいで、さびしげで、いい出だしです。映画は最初の5分が大事ですが・・・ここらへんはばっちり、って気がしました。

 ’僕の心の中に住みついた女の子の話を聞いてくれないか・・・’

この映画で、感心してしまったのは、歌詞が字幕になって読めるということです。

ああ、ジョン・レノンってこんなこと、歌っていたんだ・・・って歌詞がとても新鮮でしたね。

英語から入るのではなく、日本語に訳された歌詞から入ってみると、なかなか素敵で時に意味深な歌詞ですね。

 わたしは、歌の時とても歌詞を重視します。ただ漠然と愛や夢を歌うだけ・・・・では物足りない気がします。

しかし、ビートルズの歌詞は、逆にそこら辺とてもシンプルで力強さを感じますね。

 映画としては、反戦よりも、イギリスのリバプールから、父を探しにアメリカにやってきたジュードという青年が、仲間に出会い、ルーシーという女の子と出会うBoy meets Girlで、そこら辺をシンプルにしたところ、意外とビートルズの歌詞を重視しているというか。

恋愛の方に力を入れているので、歌も力んで歌う・・・というのはあまりありません。

そこら辺も疲れないところですね。

 ライオン・キングを始め、様々なミュージカルやオペラ(映画では『フリーダ』)を手掛けてきたジュリー・テイモア監督の世界はなんだかとても気持ちいい。

ビートルズについては、もう、マニアックな人がたくさ~~~~んいると思うので、この曲がこんな風に!ってうんちくを語るもいいでしょう。

そんな楽しみもありますよね。

 ビートルズを知らなくても十分楽しめるものになっていて、色の使い方や踊りなどもセンスがとてもいい。ごてごてにならず、ひとりよがりにならず・・・力みもなく。

そして、歌を歌う若者たち、かなり歌が上手いです。俳優さんですが、ボイス・トレーナーがついて練習したそうで、このままサントラ出しても、それはそれでいいものになると思いますよ。

 こういうミュージカルって他にないかなぁ、クイーンの曲だけ、とか。

まぁ、これだけ「物語」に沿うことができるビートルズの世界は広かったってことだなあ、って思うのです。

なんだか、反戦ものなのに、妙にさわやかだぞ。

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