イントゥ・ザ・ワイルド

イントゥ・ザ・ワイルド

Into The Wild

2008年8月20日 九段会館にて(試写会)

(2007年:アメリカ:148分:監督 ショーン・ペン)

 若者、自分探しの旅・・・・の映画はたくさんあります。

まぁ、若いが故の現実逃避願望もあったりして、映画にはなりやすい題材です。

 この映画は、実話をもとにしています。

俳優であるショーン・ペンが監督していますが、もし、ショーン・ペンが若かったらこの主人公の役を力入れてやりたかったのではないでしょうか。

 クリス(エミール・ハーシュ)は、大学を優秀な成績で卒業して、ハーバードのロースクールへ進学が決まっていて、両親も裕福で、恵まれてた青年のようです。

それがいきなり、貯金も寄付、カードも現金も燃やして、アメリカ縦断の旅に出てしまう。

最終目的地はアラスカ。

 何故、クリスは旅立とうとしたのか・・・・その辺が、両親への反抗心かもしれないのですが、反抗期の男の子が家出しちゃう・・・みたいな感じです。

思うに、いい子、優秀な子、おとなしい子、親の自慢の子・・・だったクリスって、いわゆる普通の人が通る反抗期ってなかったのではないかと思うのです。

そこらへんは、映画ではあまり語られない。

映画はあくまでも旅をする中で出会う人々・・・そしてアラスカで、自給自足しようとする・・・そんな姿を追います。

しかし、回想でちら、と出てくる両親の姿は完全に反抗期の子供が考える「世間体ばかり気にして、綺麗事言ってるくせに、中身は俗物だぁっ」という怒りのようです。

 反抗期の時に暴れてしまって、ある意味、通過儀礼としてスッキリしてしまえば親離れというのもできるのでしょうが、それが出来なかった抑圧された良い子というのもいます。

親からしたら手のかからない楽な子供かもしれませんが、反抗期って必ず必要なものだと思うんですね。

大人になってからの麻疹は、大変危険ですが、遅くなって訪れた反抗期も危険なんです。

 クリスはとても頑固で、 アラスカに行くと決めたら、他の人の言うことは聞かない。

まだ、冬の雪が残るアラスカに行く・・・というのは、しかも、アウトドアの生活全く知らない’おぼっちゃま’が、まだ冬のアラスカに行くのは、無謀すぎるといえばそれまでかもしれませんね。

 映画の最初に、ソローの引用がでてきて「人間よりも自然を愛す」といったことが出ますが、クリスはとことん、人と接するのが嫌なんだろうな・・・と思います。

どこへいっても、「ここは僕の居場所じゃない」と否定する力が異常に強い。

 そして、誰とも会わない、誰の助けもいらない・・・・と「まったくひとり」で自然の中に入っていく。

しかし、現実の自然はそんなに甘くない・・・・という苦難が待ち受けているという甘さを全く排してしまったところが潔いのですが、ここまで人間嫌いかぁ・・・・・と複雑な気持にもなりました。

頭がいいなら、アラスカでのサバイバル生活について、もっと知って、経験を積んでから望めばいいのに・・・っていうのは、クリスの嫌う「大人」の考えなんでしょうね。 

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