デトロイト・メタル・シティ

デトロイト・メタル・シティ

2008年9月5日 ヴァージンTOHOシネマズ 市川コルトンプラザにて

(2008年:日本:104分:監督 李闘士男)

 「こんなはずじゃなかった・・・」

まぁ、人生ってそんなもんですわ、なんて思うのですが、この映画は「成功の仕方が」こんなはずじゃなかった・・・というかなり、面白い設定です。

 原作は人気漫画だそうですが、最近の漫画は知らないので映画のみ・・・ですが、漫画の絵を見るとかなり似ていますね。

 根岸祟一君、「おしゃれなポップミュージシャン」を目指して、東京の大学に入るために大分の田舎から上京から映画ははじまります。

のどかな田園風景の中で、母に見送られて、ギターケースを持って・・・

 大学で軽音楽部に入り、「おしゃれな」音楽三昧・・・デモテープを作って持っていった先がまずかった・・・・・デス・レコード。

社長(松雪泰子)は、恐怖のメタルバンド一色のこわい社長。

金髪のかつらに白いメイク、悪魔系デスメタルバンド、デトロイト・メタル・シティのギター&ボーカル、ヨハネ・クラウザー・Ⅱ世として、デビューさせたら、インディーズのカリスマ的存在になってしまう。

 映画上手いな、と思ったのは、社長が根岸君を変身させるあたりを、思いきって省いてしまったところだと思います。

マッシュルームカットの根岸君が、よし、とデモ・テープを見る・・・・ともう、次の瞬間には、熱狂的なファンに囲まれて’SATUGAI  殺せ~~殺せ殺せ殺せ~~~’ と火を吹かんばかりのクラウザーさん。

 申し訳ないのですが、祟一くんが、「いやあああああ~~~~ちが~~う、ちが~~~う!」と悶絶して悩めば悩むほど、おかしいんです。

デフォルメの仕方が面白いですね。

わたしがデスメタルバンド・・・といわれて思い出すのは、もう、KISSなんですけど、すごかったですよ。あのインパクト。

 デスメタルと渋谷系と言われる音楽・・・祟一くんが目指すのは、「小沢健一やコーネリアスとか、カミヒ・カリィみたいな音楽なのに」・・・その対比のさせ方が極端で面白いんですね。

祟一君とクラウザーさんを演じたのは松山ケンイチですけれど、怖いくらいはまってましたね、どちらも。

 どっちがカッコイイか、というと「おしゃれ」を目指す祟一くんの「おしゃれ感覚」もかなり、いっちゃってて、なんか、かわいいけど、イラ~とするんですね。

おしゃれな店=代官山・・・みたいな、マニュアル通りのおしゃれに憧れて、格好を真似してるだけ。

逆に、横柄な態度のクラウザーさんのほうがまとも、に見えるくらい。

まぁ、祟一くんがくねくねと歌う、「ラズベリー・キッス」「甘い恋人」も、個人的には好きな音楽なんですが。

 クラウザーさんの爆走がエスカレートすればするほど、祟一くんの悩みは、深くなっていく。

でも、決して二重人格・・・と描いていませんね。

仕方なく演じている・・・・というとらえ方が、面白いんですよ。

でも、社長は「ふん、まだ自分の才能にきづいていない・・・気付かせてやろうじゃないの」と愛犬の「ぐりとぐら」を連れて、アパートのおしゃれな部屋を破壊・・・憧れの相川さん(加藤ローサ)に見られちゃって・・・・「この恨み、はらさずにおくべきか・・・・・」と自分の中のクラウザーさんに気がつく。

 とうとうアメリカのデスメタル界の帝王、ジャック・イル・ダーク(これがKISSのジーン・シモンズ)と対決まで行ってしまう。

 とにかく松山ケンイチだけでなく、出てくる人のなりきりぶり、というのが徹底していて、それを一番感じたのは、クラウザーさんの信者で追っかけの大倉孝二。

「死にたくなければ生まれてくるなっ!!!!!」というヤジは名言です。

あと、祟一くんが、「あ~~~~カミヒ・カリィ~~~曲がおしゃれだと(CDの)ジャケットもおしゃれ~~~~」っていうのも、正しいような。

 まぁ、一番、びっくりして笑ってしまったのは、ジャック・イル・ダークの火を吹くエレキギターでしょうね。

対決って何をすれば、勝ちなのか・・・っていうのも脱力だし、牛が伏線で使われるのもいいですね。

この感想書いてて、何度「面白い」って書いたかわからないのですが、とにかくギャップの面白さをここまで出した映画があってもいいですよね。

ちなみに、この映画のタイトルは、KISSの『デトロイト・ロック・シティ』のパロディ。

音楽パロディとしてもなかなか奥深いものがあるとみました。

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