落下の王国

落下の王国

The Fall

2008年9月10日 渋谷 アミューズCQNにて

(2006年:アメリカ:118分:監督 ターセム)

 この映画のプロデューサーは、デビット・フィンチャー監督とスパイク・ジョーンズ監督だったんですね。

この映画が、「映像が美しい」と宣伝されていて、そのつもりで観に行くと、「お話」は結構、ダークで残虐だったりするところ、妙に納得です。

 1915年のアメリカ。

映画がまだサイレント映画の時代。

映画のスタントマンをしているロイという青年は、恋人を映画の主演男優にとられ失意のうちに撮影で、橋から落ちるシーンで事故。

入院先で出会ったのが、移民の子供でオレンジの木から落ちて左腕を骨折した5歳の少女、アレキサンドリア。

 自殺願望のある青年は動けないので少女をそそのかして、モルヒネ自殺をしようとする・・・・お話をしてあげるから・・・と最初は、利用するつもりで、5人の男が、復讐に立ち向かう物語を始めます。

 CGを一切使わず、一日で1シーンしか撮れないときもあった、4年もかけて世界遺産を含む壮大なロケーションを敢行、衣装は、石岡瑛子。

奇抜で、鮮やかな色使いの衣装に美しい風景の数々。

しかし、失意の青年が物語るのは・・・・・自分たちを追い詰めて、無人島に追いやったオウディアス総督への復讐。

 おもしろいのは、最初は5人の復讐の物語なのに、だんだん、それが、「自分を追いやった者への復讐」の気持がでてくるところ、そして、無心に無邪気に、物語を楽しむ少女が物語に入り込んできて、だんだん、青年には、救済の物語に変わっていくところです。

 確かに映像は美しい、迫力の連続であり、衣装はエキゾチックです。色の使い方も抜けるような青空に赤い砂の砂漠・・・めくるめくような映像の底に流れる失意から、救済の気持への変化。

 少女はあくまでもぷっくりしていて、前歯がみそっ歯で、無邪気。この無邪気さ、というのもとても美しいと思うのですね。

かわいらしさの底に流れる美しさ・・・・スクリーンに広がる美しい風景もいいけれど、少女の無垢な美しさというのがラスト、ほんわかと伝わってきて本当に救われたような心持になる映画。  

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