八日目

八日目

Le Huitieme Jour

2008年9月15日 DVD

(1996年:ベルギー=フランス:118分:監督 ジャゴ・ヴァン・ドルマル)

1996年カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞

 この映画は、ずいぶん前から、観たいと思っていたのですが、いつも優先順位が5位くらい・・・でつい見逃していた映画です。

ある情報サイトで、この映画がとりあげられていたのが観たきっかけです。

 ダウン症の青年と仕事ばかりで家庭を顧みない男の交流を描いたものですが、「きれいごと」だけで終わらせていないところがいいですね。

ダウン症の青年、ジョルジュ(パスカル・デュケンヌ)は施設にいる。

いつもきれいな服を着て、編みものが好き、そしてナンシーという同じダウン症の女の子のことが好き。

でも、母が一番好き。

誰も迎えに来ない週末・・・母のいる家へ帰ろうとします。

 片や、大きな銀行でセールスの方法などを熱烈に講演している男、アニー(ダニエル・オートゥイユ)

仕事ばかりで、家を顧みないあまり、妻は娘二人を連れて実家に帰ってしまった。誰もいない、がらんとした家。

子供に会いたい、と言っても、頑なに拒絶される。

 そんなとき、アニーの運転する車がジョルジュの連れていた犬をはねてしまった・・・・・

責任を感じたアニーは、ジョルジュを家まで送ることに。

 しかし、ダウン症のジョルジュは無垢なんだけれど、社会生活には順応できない。

感情の抑制もきかなくなるととことん、頑固に、感情的になり手に負えない。

仕事、仕事、仕事・・・そして仕事では、顧客の心をつかむ方法などをレクチャーしてるくせに、家族の心は離れてしまい、イライラとするばかりのアニー。

 この2人、実はよく似ているところがある・・・ということがだんだんわかってきます。居場所がない2人。

ただ、すぐに何かあって、仲よくなりました・・・にはならず、アニーとジョルジュは、反発しあいながらも似ている部分をなぞっていく、その過程が丁寧です。

ジョルジュは悪意はなくても、外の世界では、差別され、誤解され、疎外される。

神様は世界の一日目に何を作ったか・・・・そんなナレーションで映画は始まり、終わります。

 人間同士の難しさを、綺麗事言わず、冷静に、過激にならず、美談にもせず、むしろ残酷な現実から目をそらさずに、それでもファンタジックな映像をはさんだ人間関係ドラマの秀作。

アニー役のダニエル・オートゥユとジョルジュ役のパスカル・デュケンヌは、カンヌ映画祭で主演男優賞をとりました。

大人の苦渋とダウン症の青年の苦渋の演技が、本当にすばらしく、また、お互い違った形で喜びを得た・・・そんな表情が豊かな映画でもあります。 

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