My Mother is a Belly Dancer マイ・マザー・イズ・ア・ベリー・ダンサー
My Mother is a Belly Dancer
2008年927日 DVD
(2006年:香港:100分:監督 リー・コンロッ)
この映画は、香港の大明星であるアンディ・ラウがオーナーのアジア映画制作会社、Focus Filmsの映画で、過去、東京国際映画祭で上映されたときに逃し、その後、フォーカス・フィルムの特集上映でも逃していたのですが、幸い、DVDが出ていました。
フォーカス・フィルムの特徴は、アンディ・ラウが、カメオ出演しているところで、この映画にも出てきますね。
いわゆる、素人が何かを始める・・・という題材ですが、「母」である女性たちが、ベリーダンスを習うことから始まるあれこれです。
『フラガール』の時は、フラダンスですが、若い娘さんではなく、出てくる4人の女性(主婦)は、映画では年が出てこないのですが、おそらく、20代、30代、40代、50代の女性たち。
20代の女性は、シングル・マザーで実家に赤ちゃんと一緒に戻りますが、外で遊んでばかり。目下、新しい恋人に夢中。
30代の女性は、4人の女の子の母ですが、夫が失業。ごみ集めの仕事をしていても人員削減でクビ。どうしたらいいかわからない。
40代の女性は、働く必要はないものの、夫だけでなく、子供からもバカにされ、家に自分の居場所がない状態。
50代の女性は、夫が若い娘と浮気をしている。喧嘩ばかりの毎日。夫は、養ってやってるから・・・と開き直っている。
最初は民族舞踊の集まりだったのですが、先生がいなくなってしまい、後任の先生でーす・・・・と紹介されたのは、腹を出して、鈴をつけた腰布を腰をくねらせて鳴らす、官能的?な、不謹慎な?、踊り。もちろん世間の目も夫たちの目も「いい年をして何を」と白い目しか見せない。
でも、4人のお母さんたちは、なんだかんだいってベリーダンスを楽しむようになり、お互いの家のトラブルを支え合うようになる。
『ロボコン』とか『フラガール』のように、最後に晴れの舞台で、気持よくすかっとするものではなく、4人の女性のそれぞれの悩みが並行して描かれていき、その隙間を埋めるのが、ベリーダンスなんですね。
映画は、最初の5分が大事だ・・・とよく思うわけですが、この映画は、最初は市場を買い物するシーン。
それもカメラは買い物かごの中から市場を映しますから、最初は何かわからない・・・でも、少しでも安く、買い物をしようと市場を行く女たち。
そんな姿で、この映画をばっちり語ってしまっていたんだなぁ、と後になって思います。
主婦と開き直っている人もいれば、主婦というくくり方を嫌う人もいる。
いつまでも若くなければいけない・・・という強迫観念を持っている人もいる。
この映画は、そういう固定観念をやんわりとかわしていると思います。
日々の家事をこなすのだって大変だし、家族といつも上手くやっているわけではないところ、家の中にいるのも大変。育児だって思うようにはいかない。さらにこの映画は、ある香港の団地を舞台にしていて、団地という狭い世界の映画でもあります。
ますます、世間の目は、冷たい。
でも、ベリーダンスの色鮮やかな衣装が、団地のコンクリートに翻る・・・そんなイメージがとても美しく斬新です。
男性たちの考え方も色々で、協力的な夫もいれば、断固として否定しかしない夫もいる。
女だからこそできる、ベリーダンス。
決して男に媚を売るのが目的でなく、体を動かし、音楽を楽しむ・・・ということに目覚めていく女性たちは、いつでも強いわけではなく、時に弱く、時に卑屈です。
綺麗事言わない。弱音を吐くときは大いに吐き、怒る時は大いに怒る。その分、喜びも大きい。
そこのところがとても正直な映画だと思います。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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