七夜待(ななよまち)

七夜待(ななよまち)

2008年11月20日 渋谷 シネマライズにて

(2008年:日本:90分:監督 河瀬直美)

 河瀬監督の映画は、ずっと奈良県を舞台にしてきたのですが、この映画で初めて他の場所で・・・それはタイ。

河瀬監督はなんといっても緑の撮り方・・・がすばらしいと思うのですが、この映画では奈良の緑でなく、タイの緑でした。

 脚本は、ほとんどなく、撮影前に状況説明だけした紙を渡されて・・・アドリブに近い演技で綴るという、実験映画のような・・・状況設定だけであとはすべて役者のアドリブだけ、という『リセット』という映画があり、あの映画の緊迫感ってすごいものがあったのですが、この映画は、観ている間は、そんな緊迫感は感じられません。

 主演である長谷川京子に焦点はずっとあたっていて、ここは、タイのどこです、といった説明を一切省いてしまった、ある意味勇気あるというか、潔いというか。

 最初は、日本人旅行客で、タイに来て、タイ語も話さず、英語ができるわけでなく、、、、後にフランス人の男性と知り合いますが、フランス語もできません・・・・ずっと日本語でこの日本人旅行客通すつもりなのかな・・・・と、不安になったのです。

 実際、コミュニケーションが上手くとれない・・・相手が何を言っているのかわからないイライラというのが随分でてきます。

撮影は、相変わらずのドキュメンタリータッチで、これみよがしなセットなどはありません。

あくまでも空気を作り上げるのでなく、空気をそのまま取り入れる・・・という姿勢が見えます。

 主人公他について、ほとんど説明がないのですが、映画に説明は必要か・・・なんてことを思う映像の数々。

ただ、長谷川京子さん、とてもお綺麗なので、ファンの方は、眼福かもしれませんが、タイという暑い国で、こんな服というか格好するかなぁ、というものも、ちょっと感じましたね。

よくよく考えるとこの主人公はとても身勝手な部分もあります。

しかし、気持が動いていくのを、映画は説明しようとしない。

だから、映像に身を任せることができるかどうか・・・そんな映画祭で上映されるような映画ですね。 

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