ホームレス中学生

ホームレス中学生

2008年11月21日 TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて

(2008年:日本:116分:監督 古厩智之)

 原作はコメディアンの田村裕さんの自伝で、話題になりましたがその映画化です。

映画では、田村裕さんの役を小池徹平が演じています。

 大阪の中学2年生、田村裕。あしたから夏休み・・・家に帰ると、家財道具がすべて外に出され、差し押さえ状態。

大学生の兄、研一(西野亮廣)、高校生の姉(池脇千鶴)と3人で、呆然としているところに、父(イッセー尾形)が来て、

「集合!今日から家はなくなりました。これから大変だと思うががんばって生きてください。以上、解散っ!」

 是枝監督の『誰も知らない』を彷彿させる状況ですが、この映画は、家をなくし、家族とも離れ、ひとりで公園でホームレス生活を始める裕・・・をはじめとして、確かにサバイバルな生活ではありますが、『誰も知らない』のような究極の孤独感はなく、どこかしらケロンとした雰囲気が貫かれています。

 確かに、お金もなく、食べるものもなく、兄や姉に頼ることもなく・・・・ですが、同級生や周りの大人たちがなんだかんだいって、手をさしのべてくれる様子が後半描かれるから、最初にどか~~んと悲惨になって、それが救われていく過程を映画にしている、というものでした。

食べ物も重要なんですが、同級生(柄本時生)の家で、本当にひさしぶりにお風呂に入るとき・・・の様子。

わああ、お湯だ・・・って、おそるおそる湯船のお湯に手をつけるあたりが、リアリティありましたね。

市川崑監督の『太平洋ひとりぼっち』で、アメリカに着いた石原裕次郎が、風呂にはいると湯船が真っ黒・・・というのを思い出したりして。

 出ている人それぞれいいのですが、印象に残っているのは、無責任ともいえる父、イッセー尾形。

借金ばかりで親戚づきあいもなくしてしまい・・・ダメダメ人間ですが、なんとも言えない存在感あり。

突然、自転車に乗って現れたりして・・・・子供たちはあまり父を憎まないというか、もう、あの父だから仕方ないって受け止め方をしているのがよくわかる存在感でしたね。

 また高校生の姉を演じた池脇千鶴。

家をなくして一番、ショックが大きかったのが女の子である姉なんですが、だんだん強くなっていくのが、千鶴ちゃん、上手いです。

同級生の両親が、宇崎竜堂と田中裕子なんですが、一見、怖そうな宇崎父の存在感もいいですね。

 全体的に悲観的な空気がないので、観ていてそうそうつらいもの、痛いものは感じないのですが、実際、これ実話だったのだ、と思うとすごいなぁ、って思います。

サバイバル映画の悲惨さを抜いたサバイバル映画って、めずらしいなぁ、って。 

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