第三の死角

第三の死角

The Third Blind Spot

2008年11月22日 東京国立近代美術館フィルムセンターにて(第9回東京フィルメックス・蔵原惟繕監督特集)

(1959年:日本:97分:監督 蔵原惟繕)

 今年のフィルメックスの特集は、蔵原惟繕(くらはらこれよし)監督特集です。

 日活時代は石原裕次郎の映画、そしてわたしの年代だと、『南極物語』『キタキツネ物語』の監督ですね。

上映前に、弟さんのあいさつがあったのですが、日活時代と『南極物語』の間に、テレビの自然ドキュメンタリーの制作をされていたそうで、蔵原監督は、「ネイチャーもの」と言っていたそうです。

 しかしこの映画は、いわゆる企業ものです。

巨大造船会社の社員、長門裕之、長門裕之の大学時代の友人で今は、キャバレーのマネージャーをしている葉山良治。

そして造船会社の会長の娘。

この3人の愛憎劇と、いわゆる総会屋騒動というのが描かれていきます。

 葉山良治は、表向きはマネージャーですが、裏では、企業の弱みを探しだして株主総会をめちゃくちゃにする・・・という陰謀の手伝いをしている。

長門裕之は、会社では、腕ききの調査部員。まぁ、探偵のようなことをして、株主総会の裏の暗躍に上部が気がつくと、その隠ぺいに走りまわる。

 全体を通じてなんともヒリヒリしたムードがただよっています。

それぞれ立場が違っても、なんとかして今の状況から脱出したい・・・というベクトルは違っても、男2人、女1人の願望は一緒です。

 しかし、世の中そんなに甘くない。厳しい日本の社会を生き抜くためには、友情とか愛とか・・・きれいごとはいっていられないやるせなさ・・・

そんなものをびしばしと感じる映画でした。どうなる?という娯楽の部分もありますがその底にはあるのは、大人の世界、です。 

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