マクナイーマ
Macunaima
2008年11月22日 有楽町朝日ホールにて(第9回東京フィルメックス)
(1969年:ブラジル:105分:監督 ジョアキン・ペドロ・デ・アンドラーデ)
今年のフィルメックスのオープニングの前にひっそりと?上映された映画。
観客の数も少なくて、わたしも最初はちょっとこれは観るのやめようかな・・・なんて思ってました。
でも、観て、正解。大正解。
こんな世界を、こんな映画を上映するなんて、もうフィルメックスならでは!だわ、と嬉しいです。
驚いたのは、この映画、1969年の映画なんですね。
サイケデリックといえる色使い、あちこち話は飛びまくってもケロリとしている雰囲気、なんとも意地悪で皮肉で風刺に満ちた映像。
もう、最初のシーンで、お母さんが、う~~~~~~~~ってすごい形相でうなっていると、ぼたっと子供が・・・・とはいえ、赤ちゃんではなく、もう立派な大人がごろんっていうのに、ビックリ~~~~。
さて、なんともシビアなお母さんから、「Mで始まる名前は不幸になるからね、お前の名前は、マクナイーマ」
マクナイーマは人種でいうと黒人なんですが、いろいろな魔法で、ころっと白人になったりします。それもなんか唐突に「王子様」
お兄さんが2人いますが、これまた人種色々で・・・。
変なこと・・・を、変だもんね・・・と堂々とやる世界。これは、以前、東京国際映画祭で観たタイ映画『シチズン・ドッグ』に似ています。
映画の中では、何が起きても、「変じゃない」のです。
森の生活から都会に出てきた兄弟たち・・・・人が機械のようだ・・・と そしてお金持のパーティで行われる「プールがスープです」パーティ。
ビンゴであたったひとは、はい、プールにジャ~~~ンプ!スープのだしになってね・・・。
この映画では、人食というのが出てくるのですが、それはおどろおどろしいのではなく、旅の途中でお腹が空いたマクナイーマが、男の人に「食べ物ある?」と聞くと、「うん、どうぞ~~~」って自分の足の肉、切って渡したり・・・なんともケロンとしていて、不快というより、笑ってしまうのです。
唐突なことが繰り出されてきますが、いきなり死んでしまう人々、食べ物というものに妙に固執がなく、何の固執もなく人々は去っていく。
兄さんたちの奥さん、恋人、次々と現れては、いなくなってしまう女の人たち、そして森から都会へ、そして森へ帰るときにいかだの上で何故か、エレキ・ギター演奏(アンプの電源はどこから?)
なんというか、この世界、いきなりすごいもの観てしまいました、というとてもブラックで綺麗で、意地悪で、ヘンテコかわいい個性的で大好きです。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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