リーニャ・ヂ・パッシ

リーニャ・ヂ・パッシ

Linha de Passe

2008年11月22日 有楽町朝日ホールにて(第9回東京フィルメックス)

(2008年:ブラジル:110分:監督 ウォルター・サレス、ダニエラ・トマス)

オープニング作品

 タイトルの「リーニャ・ヂ・パッシ」というのは、ブラジルで子供たちが遊ぶボール遊びで、日本の蹴鞠のように、4人の子供がボールを地面に落とさないように、パスしあう遊びだそうです。

 この映画には、あるシングル・マザーとその4人の息子たちの物語。

息子、といっても4人の父親は全部違い、今、母は、また新しい父親の子供を妊娠中。

 貧しい暮らしから、逃れるために・・・何になるか・・・長男は、サッカーの選手をめざす。

サッカー選手になる、ということは、金持への近道なんですが、サッカー大国ブラジルでは、18歳以上はプロ入団試験を受けられない。

もう、サッカーの上手い子供はたくさんいて、長男は、18歳になってしまい・・・・年をごまかして試験を受けようとする。

18歳の誕生日を周りから祝われても、長男はなんとも気持複雑。

 厳しい現実は、他の家族にもどんどん押し寄せる。

メイドの仕事を首になりそうな母、宗教に走る次男・・・それでも生きる。生き延びる。決して、絶望だけでなく、希望もある・・・というスタンスがずっとあります。

 母は、ただただ貧困にあえいでいるか、というとサッカーの大ファンで、サッカー場で熱心に応援。

 共同監督ですが、女性監督、ダニエラ・トマス監督が、ラストについて「(映画で)文章の最後にピリオドを打つのは観客」「ファンタジーや奇跡は、ドキュメンタリーでは、ありだけれども、フィクションには必要ない」ときっぱり言い切ったところが潔いです。

 映画にファンタジー、奇跡、現実逃避を求めるのもあり、ですが、そればかりでは、映画はとてもひらべったいものになります。

こういう映画もありだ、と堂々としている余裕と自信が見える映画。 

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