黄瓜(きゅうり)

黄瓜(きゅうり)

黄瓜/Cucumber

2008年11月25日 有楽町朝日ホールにて(第9回東京フィルメックス)

(2008年:中国:100分:監督 チョウ・ヤオウー)

コンペティション作品

 この映画、好き嫌いで言ってしまうと、とても好きです。

何が好きというと、全編、ロングショット、固定カメラという筋を通していて、とても距離感をきちんと保った映画だからですね。

映画というと、顔のアップで表情で演技、訴えるのもあり、ですが、そこら辺のバランスってとても難しいと思います。

何の映画か忘れてしまったのですが、とにかく顔のアップの連続の映画のあと、ぐったり疲れてしまった記憶が。

スタイルとして、観察を続けているような、距離の保ち方・・・が好きです。

 この映画は、3つの話が並行して描かれますが、その3組が交差することはほとんどありません。

しかし、この3つの話に出てくる3つの料理が、ポイントです。そして、黄瓜のシンボリックな使い方。日本の胡瓜とちがってもっと大きくて太い瓜、ですね。

 3つの料理がそれぞれの物語をあらわしている・・・と監督が上映後、丁寧に説明してくれました。

「花爆腰花」(腎蔵に効く、または男性機能促進効果):これは中年男性の物語。リストラされて困っている40代の男性。

仕事も見つからない、男性機能も・・・だ・・・といった迷いを描きます。

「宮保鶏丁」:これは鶏肉と豆の炒め物で、この料理の発音・・・売春婦と同じなのだそうです。

ある父親・・・妻が浮気をしているのを知らず、家事をする。息子は反抗期・・・困ったものだ。

「魚香肉絲」:違法で屋台で野菜を売っている家族。小学生の息子に何が食べたい?と聞くと、マクドナルド・・・・

でも「魚香肉絲」も美味しいぞ、みんなで食べに行こうな…そんなとき、警察の手入れが・・・小学生の男の子は、料理の名前から、魚料理だと思って、魚を買ってくるけれど・・・・これは、豚肉料理なのです。

料理で、料理を食べる、というより作るところに、ポイントを置いていました。

いかにも美味しそうな料理ではなくて、どちらかというと庶民の普通の食卓にならぶような料理。

 ファーストシーンで実は、3組の登場人物全員出ていたんだな・・・と後になって気がつきました。

なにもかも上手くいかない生活・・・そんなものを悲観的でなく、距離を持って見つめている、そんな映画です。

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