べガス

べガス

Vegas:Based on a True Story

2008年11月26日 有楽町朝日ホールにて(第9回東京フィルメックス)

(2008年:アメリカ:102分:監督 アミール・ナデリ)

特別招待作品

 アミール・ナデリ監督の映画は、以前、フィルメックスで『サウンド・バリア』を観たのですが、「何かにとりつかれた人」を描かせたら、ここまでしつこくやらないだろう・・・ということを、再確認しました。

 とはいえ、この映画は監督の初のカラー映画であり、その映像は、息を飲むほど美しい。そしてこだわりぬく音響。

ラスベガス・・・とはいえ、ラスベガスを描く映画ではありません。

カジノの都、ラスベガス。

 しかし、郊外にでるとそこは殺風景な砂漠のような乾いた土地。

そんなところで、お父さんは自動車工場、お母さんは、カフェのウェイトレスをしている、本当の一市民です。

小学生の息子が、殺伐とした道を自転車で家に帰るところが、最初に出てきますが、遠くに見えるのは「一攫千金の都、ラスベガスの明るいネオン」

 カジノのギャンブルを描いたものではないのですが、原題にあった通り、これは実話をもとにしていて、ギャンブルでもあり、詐欺でもあり・・・

なんとも恐ろしい話です。

庭つきの住宅でそれなりの暮らしをしている一家ですが、一人の若い男が突然訪問。

そして、高値でこの家を買いたい・・・と言い出す。

母は、庭に芝生、花、そして家庭菜園の温室まで作って・・・絶対、売らないわ、とつっぱねますが、お父さんは、高値・・・になんとも。

しかし、よくよく聞くと・・・・昔、銀行強盗団が、盗んだ金がつまったトランクが、地図などから調べると庭に埋まっている・・・という噂を聞いてしまう。

庭にお宝が・・・・さぁ、もう、そうなったら安心していられない。気になってしかたない。本当にあるのか?一攫千金?

 最初はちょっと掘るだけ・・・・だったのが、もう、だんだん・・・・とりつかれてしまう家族。

とはいえ、最初熱心なのは、肉体労働に疲れた父であり、息子は、面白がってる。母は、断固反対。

しかし、だんだん、醒めてくるのは、実は、子供である息子のミッチ。

逆に、反対していたぶん、母がどんどんのめりこんでいく。

 その過程が、スリリングで本当にあるのか、ここになかった、いや、こっちにあるかもしれない、ここにもない、じゃ、ここにあるかもしれない・・・のたたみかけがすごいですね。

 人間の欲は、底がない。疑惑を持ったら、それを払拭するのに大変。もっともっと、どこかにいいものがあるのかもしれない・・・とこれは、ある物語ではありますが、そんな人間の確執というもをくっきり浮き彫りにします。

 本当に金はあるのか・・・・そんな期待も、観客は持ちます。

観客も一緒になって宝さがしに、のめりこんでしまう。

 今でも日本で、徳川の埋蔵金を堀り続けている人がいるって聞いたことがありますが、、まんざら、他人事ではないんだなぁ、と身につまされる映画。

なによりも、遠くに見えるべガスのきらびやかなネオンが哀しくて。


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