私は見たい

私は見たい

Je Veux Voir/Baddi Chouf/I Want to See

2008年11月29日 有楽町朝日ホールにて(第9回東京フィルメックス)

(2008年:レバノン=フランス:75分:監督 ジョアナ・ハジトゥーマ、カリル・ジョレイジュ)

コンペティション作品

 以前、フィルメックスで『完全な一日』という映画をコンペに出品した2人の監督の新作です。

 今回は、フィクションではなく、女優のカトリーヌ・ドヌーブがチャリティー・パーティに出席するために初めて訪れたレバノン。

そこで、戦争、内戦の跡を見たい・・・とスタッフに言い張るところから始まります。

まだまだ、危ない・・・そんなところに・・・というスタッフに、カトリーヌ・ドヌーブはひとこと「私は見たい(Je veux voir)」

 そして、レバノンの俳優であり、演出家であるラビアの車に乗り、街を見て歩く・・・ただそれだけ、と言ってしまえばそれだけなのですが、どこからがフィクションで、どこからが、ドキュメンタリーなのか、わからない、というのがとても興味深いです。

 たどたどしいフランス語で、ラビアは色々説明しますが、カトリーヌ・ドヌーブが目にするのはまだまだ、復興からほどとおい街。

ラビアは、祖母の家に案内します・・・・と言いますが、行ってみると瓦礫の山しか残っていなくて、ラビアが当惑してしまったり。

 車から降りようとすると「あっ、ダメだっ、そこは地雷が埋まってる!」

 カトリーヌ・ドヌーブが「見た」のはほんの一部でしょう。そして、それを観ている観客のわたしたちも。

しかし、夜、チャリティー・パーティに出席して、国の偉い人から「レバノンは復興しました」なんて、言われて、「あら、そうですか」と微笑んでいるものの・・・・パーティにラビアの姿を見かけ、目で、語る「私は見た」という一瞬が見事。

 監督はこの映画は平和の映画、と言い切っています。そして、私達には想像と夢と美が必要である、と。

色々な想像、夢、美・・・・があると思いますが、何にそれをどうやって見出すか・・・それを観客は自分で考えなければいけないのかもしれません。 

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