デルタ
Delta
2008年11月30日 有楽町朝日ホールにて(第9回東京フィルメックス)
(2008年:ハンガリー=ドイツ:92分:監督 ムンドゥルツォ・コルネール)
クロージング作品
毎年、東京フィルメックスのクロージング作品はとても良質な映画を上映します。
今回は、ハンガリーのデルタ地帯を舞台にした、ものすごく映像が美しい、まさに瞳の快楽映画。
話はシンプルですが、世界遺産でもあるドナウ・デルタ(三角地帯)にふらりとやってきた寡黙な青年。
実は家に帰ってきたのですが、あまりにも久し振りなので、妹がいても、初対面。
青年はデルタ地帯に自分で家を建て始める。
美しい妹も手伝って、2人の間には、兄妹を超えた感情が芽生える・・・のですが、それがメインではありません。
突然現れて、デルタ地帯に家を建てることに、父、村の人たちはいい顔をしない。
なんとなく、疎外感を感じながらも青年は寡黙に家を建てる。
水を美しく映し出す・・・そしてそこに空の雲が、灰真珠色に映る・・・なんて美しい風景か・・・と思います。
ただ、人間たちはその自然に対してあまりにも小さい・・・疑惑、噂、ねたみ、ひがみ、嫉妬・・・・そんなものに支配され、よそから来た人間を排斥しようとする、人間の小ささを、美しい風景を描くことで浮き彫りにします。
人間を描くときに人間だけ映していればいい、ということではない・・・そういうことを実に雄弁に語っている映画。
更夜飯店
過去持っていたホームページを移行中。 映画について書いています。
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