パリの恋人

パリの恋人

FUNNY FACE

2010年2月7日 DVD

(1957年:アメリカ:103分:監督 スタンリー・ドーネン)

 昔の名画、クラッシック映画というものをDVDでぽつぽつ集めるようになって、どういう基準で選んでいるか・・・というとこれは、イラストレーターであり映画監督でもある和田誠さんの著書『お楽しみはこれからだ』からです。

 中学生ころから映画雑誌というものを読み始めて、キネマ旬報はまだ、ちょっと早かったかもしれませんが、連載で、和田誠さんのイラスト、文章、そしてその映画の名セリフを毎号4本ずつ紹介されるこのページは楽しみでした。

年代的には、わたしよりずっと上の和田誠さんですが、『お楽しみはこれからだ』1~7は、わたしの映画の教科書、または、ガイドブックの役目を果たすことになります。

ヒッチコック監督、ビリー・ワイルダー監督、ミュージカルの数々・・・和田さんの映画への思い入れと粋なイラストとよく覚えているなぁ、という名セリフ。

この連載が本になったのが、第一巻が1975年で、のちに20年間続くことになります。

この本や連載を読んで、あ、この映画は、ここの名画座でやってる・・・・と追いかけて映画を観ました。

若い時は、誰か、教えてくれる人が必要だと思いますが、映画に関してわたしを導いてくれたのは、和田誠さんにほかなりません。

 さて、この映画は1957年、スタンリー・ドーネン監督、主演は、オードリー・ヘップバーンとフレッド・アステア。

意外とこの主演の2人は、最初で最後の共演だったそうです。

 いわゆる、「野暮な女の子がその素質を見抜かれて、洗練された美人になる」という「マイ・フェア・レディもの」

この映画は、ファッション雑誌業界というのが舞台になっているので、最新ファッション・・・・がこれでもか、と出てきます。

流行を作るのはファッション雑誌の女編集長。

ピンクを流行らせるのよ!!!の一声で、職場はピンク一色に・・・・といった色の遊びで始まります。

その雑誌のカメラマンが、フレッド・アステア。

 ロケで、女編集長が、「そう!ふる~い本屋さんがバックだとこの衣装が映えるわねっ」で、グリニッジビレッジの哲学書専門本屋に突入。

そこの店員が、オードリー・ヘップバーンで、フレッド・アステアに見出される・・・と。

 原題がFUNNY FACE というのは、オードリー・ヘップバーンが、自分は「変な顔でしょ」と言うところから。

まぁ、やぼったい服を着ていても、最初からきれいといえばきれいなんですけどね。

 そして、モデルにならないか・・・からトントン拍子で、フランスのパリ~~~へ。

でも、「共感主義」という哲学の信望者である、オードリー・ヘップバーンは、モデルとしてよりも、「共感主義」の教授がパリにいて、講義をしているのを是非一度、会いに行きたいという動機もありました。

 さて、だんだん恋仲になっていくフレッド・アステアとオードリー・ヘップバーンですが・・・・これぞ、パリ!!!という観光映画でもあり、ファッション映画でもあり、恋物語でもあり、ミュージカルふんだん・・・話は他愛ない、と言ってしまえばそれまでですが、衣装はすべて、ジバンシィ。

などなど、まさに贅をつくしたミュージカル。

金さえ出して豪華な衣装を出せばいいか、、、、というと着こなす・・・そこまでいくか・・・なんて思ってしまうくらい、着こなしてしまうオードリー・ヘップバーン。

この映画で、有名なのは「ス・ワンダフル」という曲ですが、

カメラマンであるフレッド・アステアが、暗室の赤いライトの下で、写真の現像をしながらほかにもたくさんある名曲の数々を歌いだす。

そういう遊び心までが、贅をつくしていて、観ていて気持いい「他愛なさ」

 モデルなんか・・・というオードリー・ヘップバーンは、「人じゃなくて樹を映したらどう?」なんて言いますが、

「君は何を美しいと思うかい?樹かい?それだったら、君は樹に似ているよ」

と「ス・ワンダフル」を歌いだすタイミングの巧さはねぇ。今は、ないですね、こういう大人の言葉。

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