ウォーリー

ウォーリー(WALL/E)

2012年3月25日 BS

(2008年・アメリカ・監督 アンドリュー・スタントン)

 今や、BSや衛星放送で毎日のようにどんどん映画が放映されています。

DVDをレンタルする手間もお金もかからず、「映画はテレビになってしまった」という時代になりました。

この映画は、『ファインディング・ニモ』の監督ですが、今回は、ロボット。

 ピクサーならではの特撮を駆使した映画ではありますが、その芯となる部分は意外とオーソドクスで、BOY MEETS GIRLなのです。

放射能で完全に汚染された地球。

人間は宇宙のステーションに移住していしまいました。放射能と瓦礫の山の中で、ひたすら、片づけをするロボット、ウォーリー。

最初に、ウォーリーの説明の部分をセリフなしで、機械の表情だけで表現してしまうというところが、一番好きかもしれません。

ゴミの中から、気に入った小物を拾ってきては、家でコレクションしている(ルービック・キューブなど)中でもお気に入りは、ミュージカル『ハロー・ドーリー』のビデオテープ。恋人が歌いながら手をつなぐ・・そんなところを何度も観てうっとり。

そこに現れた、イブという探査機ロボット。ウォーリーは、一目ぼれって、ウォーリーが「旧式(さえない)、孤独、働き者、誠実、素朴な男」であって,イブが「最新型(美人)、有能、気が強い女」なんですね。イブの造形がとてもきれい。白くて、つるつるしていて、部品で頭がつながっていたりしないのです。

 せっせとイブの関心をひこうとするウォーリーが家にあるコレクションを見せてあるくところが、ほほえましいような、胸が痛むような。

イブの表情は目の形だけなんですけれども、吊りあがっていてツンツン。

しかし、イブは探していたもの・・・植物を発見。

人間の乗っている宇宙ステーションに持ち帰る。ついていってしまうウォーリー。人間は700年も宇宙船の中で過ごしたために、椅子に座っているだけで何もする必要がない、ぱんぱんにふくらんで自力で歩けないように「退化」してしまっています。

地球で植物が発見された、ということは、人間は地球に帰れるのか?しかし、宇宙船のコンピューターは、「このままでいい」と管理しようとする。

 環境汚染や、人間が自力で何もしなくなってロボット、機械まかせになって、「ただいるだけ」の生き物になってしまっているなど、メッセージ、教訓、のようなものもきちんとあるのですが、どうも観終わってみると、「子供に偉大なるメッセージを!」という意図が見えてしまうのです。

子供心に純粋に楽しい、面白いと思える部分はあるにしても説教臭さが、あることはあるな、と。

 もちろん押しつけがましくはないのですが、映画や本に「人生教訓」は必要だろうか・・・と思ったりしました。

むしろ、目が笑うととても美人さんになるイブとウォーリーの恋物語のような単純だけではすまない時代になってしまったのでしょう。

それが、この時代の映画なのにウォーリーが憧れるのは1969年の恋物語ミュージカルだ、という所になんとなく皮肉を感じてしまうのです。

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