やかまし村の春・夏・秋・冬

やかまし村の春・夏・秋・冬

MIRA OM OSS BARN I BULLERBYN

2013年11月3日(DVD)

(1987年:スウェーデン:86分:監督 ラッセ・ハルストレム)

 原作はアストリッド・リンドグレーンで、この映画の脚本もやっています。

リンドグレーンの作品の中では、この「やかまし村」ものはとても素直で、かわいらしくて、邪気がないのではないでしょうか。

声高に叫ぶものは何ひとつないのですが、見終わった後なんとも言えない至福感にどっぷりひたります。

 タイトルにあるようにスウェーデンの田舎の村、村には3家族とひねくれ者の靴屋しかない、やかまし村。

そこには兄弟姉妹同然に育った10~12歳くらいの6人の子どもたちがいます。

その子どもたちが、学校に行ったり、いたずらをしたり、年中行事にわくわくしたり、遊んだり・・・その春夏秋冬を淡々と描く、ただ、それだけなのになんともこの映画の残す「しあわせの余韻」はたいしたもの。

 主に酪農をしている3家族ですが、大人たちはほとんど出てきません。

6人の子どもたちが、金持ではないけれど、極貧でもなく、ぜいたくする訳でもなく、つらい葛藤をすることもないこのあっけらかんさ、というのは考えてみれば今の時代に「なくなってしまったもの」なのかもしれません。

 映画は、クリスマス前から始まります。

楽しくて待ち遠しいクリスマス。精一杯おめかしをした子どもたちがとてもいい。

あまり待ちすぎると白髪になる・・・と聞いた女の子は、心配で鏡をのぞいたりして、ほっ。まだ白髪じゃない、と安心。

映像が透明感に満ちあふれていて、きらきらしているのですが、特にこのシーンは好きですね。

女の子は頭に大きなリボンをつける。クリスマスは特別な日なのです。ただ、大人のクリスマス・パーティででるニシンのサラダを除けば。

ラッセ・ハルストレム監督はアメリカのハリウッドに行ってしまったけれど、わたしはスウェーデン時代の監督の映画が大好き。

 子どもといえば、勉強、学校・・・と学校も出てくるけれど、女の先生はおおらかで、ぐねぐねといたずらをする子どもたちにおおらか。親たちも子どもたちに干渉せず、おおらか。

おおらかにのびのびと育つ、すくすくと育つ子どもたちの姿を追うだけでこれだけのしあわせ感をただ、味わうだけ、それだけでもう、この映画はいいのです。

もう、そう言い切るしかない至福の映画です。いい映画。

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